トラック協会で利用できる助成金制度は?地域別の制度も併せて紹介

トラック協会で利用できる助成金制度は?地域別の制度も併せて紹介

全日本トラック協会では、いくつかの助成金制度を利用できます。とはいえ、具体的にどのような制度があるのか、自社で利用できる制度はどれか分からないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、全日本トラック協会で利用できる助成金制度の一例を紹介します。

トラック協会に加入しており、助成金を活用したいと考えている事業者の方はぜひ参考にしてください。

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森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

全日本トラック協会で利用できる助成金制度の一例を紹介

ここでは、全日本トラック協会で利用できる助成金制度について「安全対策事業」「環境対策事業」「経営改善事業」の3つに分けて紹介します。

それぞれの事業で利用できる助成金を確認し、必要な準備を整えていきましょう。

安全対策事業

全日本トラック協会が安全対策事業で利用できる助成金の中には、以下のような制度があります。

  • 安全装置等導入促進助成事業 
  • ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
  • トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業
  • 血圧計導入促進助成事業

それぞれの制度について、詳しく解説します。

安全装置等導入促進助成事業 

安全装置等導入促進助成事業は、事業用トラックの交通事故をゼロに近づけるために、さまざまな安全装置の普及を支援する取り組みです。

この制度の助成対象となるのは、以下の装置が含まれます。

  • 後方視野確認支援装置:事業用トラックにバックアイカメラ(常時、後方視野が確保できるもの)を装着した場合
  • 側方視野確認支援装置:車両総重量7.5トン以上の事業用トラックの左側にサイドビューカメラ(左折方向指示器と連動して視野が確保できるもの)を装着した場
  • 側方衝突監視警報装置:車両総重量7.5トン以上の事業用トラック(トラクタの場合は第5輪荷重8.5トン以上)に側方衝突監視警報装置※を装着した場合
  • 呼気吹込み式アルコールインターロック:国土交通省の技術指針に適合しているもの
  • IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型アルコール検知器:Gマーク認定事業所が導入するもので、被測定者の意思によらず自動的に測定結果を端末(営業所設置)に送信できるもの
  • トルク・レンチ:車両総重量8トン以上の事業用トラックを管理する事業所において、「600N・m」以上の締め付け能力を有する大型車用トルク・レンチ(自立型トルク・レンチ、トルクセッター型インパクトレンチを含む。)を導入した場合

なお、助成額については以下の通りです。

助成対象装置助成率助成上限額
後方視野確認支援装置側方視野確認支援装置呼気吹込み式アルコールインターロックIT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用する携帯型アルコール検知器機器取得価格の1/22万円
側方衝突監視警報装置車両1台につき、取得価格の1/210万円
トルク・レンチ1事業所1台まで、取得価格の1/23万円

出典:令和6年度安全装置等導入促進助成事業について

ドライバー等安全教育訓練促進助成制度

ドライバー等安全教育訓練促進助成制度は、トラック運送業界における安全意識向上と運転技能の向上を促進する取り組みです。この制度は、特に中小事業者における安全教育訓練に関する負担を軽減することを目的としています。

都道府県トラック協会の会員事業者が、全国トラック協会が指定する研修施設に自社のトラックドライバーや安全運転管理者を派遣し、所定の研修を受講させた場合に、費用の一部または全部に助成金を支給します。

対象となる研修について、一部の例を以下に紹介します。詳しくは、令和6年度ドライバー等安全教育訓練促進助成制度 特別研修一覧をご覧ください。

研修区分所在地研修施設研修名
特定研修施設愛知県中部トラック総合研修センタードライバー研修+初任コース(3日間)
ドライバーキャリアアップ研修(3日間)
添乗指導者養成研修(3日間)
埼玉県埼玉県トラック総合教育センタードライバー研修(3日間)
指定研修施設北海道総合交通教育センタードライビングアカデミー北海道一般・初任ドライバー研修(3日間)
​​添乗・指導管理者研修(3日間)
群馬県総合交通教育センタードライビングアカデミーぐんま一般・初任ドライバー研修(3日間)
(運行・安全運転・添乗)管理者研修(3日間)
新潟県新潟自動車学校一般・初任ドライバー研修(3日間)
安全運転管理者研修(3日間)
福岡県総合交通教育センタードライビングアカデミーONGA一般・初任ドライバー研修(3日間)
添乗・指導管理者研修(3日間)
一般・事故再発防止研修(3日間)

助成金額については、以下の通りです。

  • 一般研修:1泊2日で1万円
  • 特別研修:2泊3日で受講料の7割を助成

出典:令和6年度ドライバー等安全教育訓練促進助成制度について

トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業

トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業とは、トラックドライバーの睡眠の質を検査することで、業務の安全性向上と健康増進を図る取り組みです。

この制度の助成対象となる検査は、指定検査・医療機関が実施するSASスクリーニング検査のうち、健康保険適用外である第1次検査および第2次検査です。

助成額については、以下のように設定されています。

  • 第1次検査費用の半額(上限500円/人)
  • 第2次検査費用の半額(上限2,000円/人)
  • 第1次検査及び第2次検査を同時に実施している場合は、合計費用の半額(上限2,500円/人)

出典:令和6年度トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業について

血圧計導入促進助成事業

血圧計導入促進助成事業は、過労死や健康起因事故を防ぐために血圧測定の重要性が認識されている昨今において、高機能な血圧計の普及を図ることを目的とした事業です。この事業では、各都道府県トラック協会を通じて、乗務前の点呼における血圧測定に活用できる高機能な血圧計の導入を支援します。

助成対象となるのは、管理医療機器かつ特定保守管理医療機器である全自動血圧計(業務用)を導入した場合です。

各都道府県トラック協会の会員である、資本金3億円以下又は従業員300人以下の中小企業者を対象に、上限を5万円として機器取得費用の1/2が助成されます。

出典:令和6年度血圧計導入促進助成事業について

環境対策事業

全日本トラック協会が環境対策事業で利用できる助成金の中には、以下のような制度があります。

  • 環境対応車導入促進助成事業 
  • アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業

それぞれの制度について、詳しく解説します。

環境対応車導入促進助成事業 

環境対応車導入促進助成事業とは、環境対応車を導入する各都道府県トラック協会会員事業者に対し、温室効果ガスの排出削減・地球環境の保全を目的に必要経費の一部が助成される制度です。

助成対象となる車両は「天然ガス自動車」「ハイブリッド自動車」「電気自動車」「燃料電池自動車」の4種類で、それぞれ以下のように助成金の交付額が定められています。

助成対象車両条件助成金交付額(定額)
天然ガス自動車内燃機関の燃料として可燃性ガスを用いる自動車で、燃料が「LNG」もしくは「CNG」車両総重量12トン超100万円
最大積載量4トン以上45.9万円
最大積載量4トン未満12.2万円
ハイブリッド自動車内燃機関を有する自動車で併せて電気又は築電圧に蓄えられた圧力を動力源としている、かつ「ハイブリッド車」車両総重量12トン超60万円
最大積載量4トン以上33.5万円
最大積載量4トン未満9.7万円
電気自動車搭載された電池によって駆動する電動機を原動機とする自動車で、燃料が「電気」車両総重量2.5トン超30万円
燃料電池自動車圧縮水素又は液体水素を燃料とし、燃料電池スタック及び電動機を備えたもので、燃料が「燃料電池自動車」最大積載量4トン未満30万円

出典:令和6年度環境対応車導入促進助成事業について

アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業

アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業とは、アイドリングストップの励行を支援するための制度です。トラック協会の会員がアイドリングストップ支援機器を導入する際に、取得金額の一部に対して助成を受けられます。

この制度の助成対象となるのは、トラックドライバーが休憩や荷待ち等におけるエンジン停止時に連続使用が可能な車載用冷暖房機器で、なおかつ以下に該当するものです。

  • エアヒータ
  • 車載バッテリー式冷房装置

助成額については、上限を6万円として機器取得価格の1/2以内の額で決定します。

出典:令和6年度アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業について

経営改善事業

全日本トラック協会が経営改善事業で利用できる助成金の中には、以下のような制度があります。

  • 若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業
  • 中小企業大学校講座受講促進助成制度
  • 自家用燃料供給施設整備支援助成事業 
  • インターンシップ導入促進支援事業 
  • 自動点呼機器導入促進助成事業
  • 「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業 

それぞれの制度について、詳しく解説します。

若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業

若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業とは、若年労働者を雇用して少子高齢化に対応するための制度です。各都道府県トラック協会の会員が採用した若年ドライバーが特例教習の受講や準中型免許取得に取り組む際、一部の費用を支援してもらえます。

助成対象となるのは、以下の教習もしくは準中型免許取得のために指定の教習所でかかった費用です。

  • 特例教習の講習
  • 準中型免許のうち、準中型免許の新規取得
  • 準中型免許のうち、5トン限定準中型免許の限定解除

なお、助成を受けられるのは費用を事業者が負担した場合に限るため注意してください。

出典:令和6年度若年ドライバー確保のための運転免許取得支援助成事業について

中小企業大学校講座受講促進助成制度

中小企業大学校講座受講促進助成制度とは、トラック協会会員事業者の経営者・管理者を対象とした制度です。トラック運送事業者の経営基盤の向上を図るために、中小企業大学校各校で実施される経営戦略等の講座を受講した場合に助成を受けられます。

中小企業大学校とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構の運営している「中小企業の人づくり」のための人材養成機関で、現在は全国に9校設置されています。

この制度は、都道府県トラック協会の会員である、資本金3億円以下又は従業員300人以下の中小企業者の経営者や後継者、管理者を対象に、以下に該当する講座に対して助成されます。

  • トップのための経営戦略、経営計画等に関する講座
  • 実践的な財務管理、利益計画等に関する講座
  • 管理者のための人材育成、労務管理等に関する講座
  • 女性リーダーの能力開発等に関する講座
  • 情報化、システム構築に関する講座
  • その他物流事業に関する講座

出典:令和6年度「中小企業大学校講座受講促進助成制度」について

助成額については、受講料の1/3です。

自家用燃料供給施設整備支援助成事業 

自家用燃料供給施設整備支援助成事業とは、燃料費対策の一環としてトラック協会が取り組む事業であり、以下の要件を満たすと助成を受けられます。

  • 指定数量(1,000リットル以上)の軽油専用タンクの設置を伴う自家用燃料供給施設の新設、増設又は増設を伴う代替を行う
  • 令和6年4月1日~令和7年2月28日までに消防(市町村又は地区消防組合等)より危険物取扱所の「完成検査済証の交付」を受け、当該設備の「支払いを完了」すること

※指定数量とは「危険物の規制に関する政令第1条の11」により規定。

※支払の完了には、割賦販売契約により導入した場合の「割賦販売契約締結(支払明細の確定)」を含む。

この制度の助成対象となるのは、トラック協会の会員事業者・協同組合・連合組合です。

助成金額については、以下のように定められています。

  • 軽油タンクの新設(設置1箇所分のみ):100万円
  • 軽油タンクの増設又は増設を伴う代替:30万円

出典:令和6年度「自家用燃料供給施設整備支援助成事業」の実施について

自動点呼機器導入促進助成事業

自動点呼機器導入促進助成事業は、全日本トラック協会が中小トラック運送事業者の安全確保を支援するために実施しています。この取り組みでは、運行管理の根幹である安全性向上や労働環境の改善、人手不足の解消に貢献するために、会員事業者が自動点呼機器を導入する場合、導入費用の一部が助成されます。

この制度の対象となるのは、以下のいずれかに該当する各都道府県トラック協会の会員事業者、かつ中小事業者です。

  • 資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社
  • 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

また、助成対象となる自動点呼機器については、令和6年4月1日以降に契約もしくは利用開始したもので、なおかつ国土交通省の認定を受けたものである必要があります。

助成額については、上限を10万円として対象となる自動点呼機器の導入費用にかかった額で決定します。なお、申請台数は各協会1事業者あたり1台分を上限とし、Gマーク事業所を有する事業者については2台分(上限20万円)まで申請可能です。

出典:令和6年度 自動点呼機器導入促進助成事業について

「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業 

「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業は、都道府県トラック協会会員事業者が運転者不足に対処するための取り組みとして、国が創設した「働きやすい職場認証制度」の認証取得(新規認証または継続申請)を行った場合に助成を受けられる制度です。

認証取得費助成事業は、運転者の職場環境を改善して働きやすい環境を整備し、運転者の労働意欲や労働効率を高めて安定した人材確保につなげることを目的としています。

この制度の助成対象となるのは、事業者が実際に負担した「働きやすい職場認証制度」の認証取得にかかる以下の費用の一部です。助成額についてもまとめましたので、併せてご覧ください。

助成対象助成額の上限
新規認証取得(上位認証取得を含む)にかかる審査料・登録料30,000円
同位認証継続にかかる審査料・登録料20,000円
三つ星の新規認証取得にかかる審査料・登録料50,000円

出典:令和6年度 「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業について

まとめ

今回は、トラック協会の会員が活用できる助成金について、いくつかの制度を紹介しました。

トラック協会では、ドライバー不足の改善や労働環境の整備など、さまざまな目的を目指した助成金制度が提供されています。各制度の受給条件や内容を十分に確認し、活用したい制度を受給するための準備を進めてみてください。

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