「資格取得の際に活用できる補助金ってあるの?」「どのような補助金制度があるのか詳しく知りたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。キャリアアップやスキルを活かした職に就くために、資格取得を考える方は少なくありません。
今回は、働きながら資格取得を目指せるのかについてや、資格取得を目指す個人が活用できる補助金をいくつか紹介します。
資格取得を目指している方は、ぜひ記事を最後までご覧ください。
働きながら資格取得支援制度は利用できる?
結論からいうと、働きながら資格取得を目指し、支援制度を利用することは可能です。勤務先によっては、独自の支援制度を設けている場合もあるでしょう。
ただし、社会に出ると仕事や家事などで毎日が忙しく、資格取得は時間的にも体力的にも大変なことがほとんどです。とはいえ、多忙な中でも資格を取得できると、収入増やキャリアアップなど、仕事上の多くのメリットが期待できるでしょう。
また、最近ではスマートフォンの普及やインターネットの発展により、オンデマンド授業や音声教材などの学習方法が増えています。これにより、時間や場所を選ばずに勉強ができ、資格取得のハードルが低くなっているため、今までよりも資格取得に取り組みやすくなっています。
自分に合った資格を選び、計画的に勉強を進めれば、働きながらの資格取得も不可能ではありません。ただし、努力と忍耐が必要です。しかし、その努力が報われると、より充実したキャリアと将来が待っています。
働きながら資格取得を目指す際、利用できる主な支援制度には大きく分けて以下の3種類があります。
- 教育訓練給付金:国が提供するサポート制度
- 科目等履修制度:大学や大学院の科目を単位ごとに履修できる制度
- 勤務先独自の支援制度:勤務先で設定された資格取得のサポート制度
上記の制度について、目的に合ったものを選び、活用することが大切です。
資格取得を目指す個人が活用できる補助金
ここでは、資格取得を目指す個人が活用できる補助金制度について、以下の6つを紹介します。
- 教育訓練給付制度
- 資格取得応援奨学金
- 司法試験予備試験 受験支援奨学金
- 社会人一年生スタート応援助成
- 就職活動応援助成・手に職つけよう応援助成
- 介護福祉士養成のための奨学金給付制度
それぞれの制度について確認しましょう。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、働く人々のスキル向上やキャリア構築を後押しし、雇用の安定と就職の推進を目指すための制度です。この制度では、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されます。
給付対象となる教育訓練は、レベルに応じた「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3つがあります。それぞれの対象者や支給額については以下の通りです。
教育訓練 | 対象者・支給額 |
専門実践教育訓練 | 労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象受講費用の50%(年間上限40万円)が訓練受講中6か月ごとに支給資格取得等をし、かつ訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の20%(年間上限16万円)が追加で支給失業状態にある方が初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途教育訓練支援給付金が支給 |
特定一般教育訓練 | 労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給 |
一般教育訓練 | その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給 |
出典:教育訓練給付制度
資格取得応援奨学金
資格取得応援奨学金とは、株式会社パセリが提供している奨学金制度で、就職活動や自己成長のために積極的に資格取得を目指す学生を支援するためのものです。BrushUP学びという資格情報サイトから気になる講座の資料を請求し、受講して口コミを投稿すれば、抽選で毎月5人に10万円がキャッシュバックされます。
この奨学金は、どの資格試験に挑戦したい学生にも適用され、所得や成績などの条件はありません。
キャリアアップを目指す方や就職活動を有利に進めたい方、資格取得を通してやりたい仕事を見つけたい方は、ぜひ応募してみると良いでしょう。
参考:【BrushUP学び25周年記念!第4次奨学生募集中!】資格取得応援奨学金
司法試験予備試験 受験支援奨学金
資格スクエアが提供する司法試験予備試験 受験支援奨学金は、司法試験予備試験合格を目指す学生への貴重なサポートです。このプログラムでは、無料相談を受けた後、「合格フルパッケージ」を決済した方の中から、抽選で1名に10万円の奨学金が贈られます。
なお、2024年の受付は既に終了しているため、来年度以降の最新情報を追って確認する必要があります。
司法試験はその難易度から挑戦者にとって大きな試練ですが、その夢を追い求める学生に手厚いサポートを提供することで、彼らの道を照らし、成功への道筋を示します。この奨学金は、受験費用や参考書購入費用などの経済的負担を軽減し、学生たちが精力的に学びに集中しやすくなる環境を提供しています。
参考:法曹を目指している方、応援します!司法試験予備試験受験奨学金!
社会人一年生スタート応援助成
株式会社ジェイ・ストーム(2024年1月1日以降は「株式会社ストームレーベルズ」に名称変更)からの寄付で成り立っている社会人一年生スタート応援助成は、社会的養護施設で生活する児童等の自立支援を目指しています。
この助成金は、児童が就職時に必要な各種資格の取得にかかる費用の一部を補助することで、彼らの社会参加と自立への一歩を後押しします。寄付によって実現されるこの支援は、社会人一年目となる人材の豊かな成長を遂げ、社会で活躍するための基盤を築く手助けとなるでしょう。
この制度の対象者は、児童養護施設・母子生活支援施設に入所していた場合と自立援助ホームに入所していた場合によって異なります。
<児童養護施設・母子生活支援施設> ※以下の1〜4を満たす者が対象
- 助成申請時に、児童養護施設もしくは母子生活支援施設に入所している、または退所しているが令和3年4月1日以降において入所していた児童
- 原則として、令和6年4月から9月までの間に就職を予定していること(※進学の場合は申請できない)
- 本助成を活用して取得する資格証等の写しを、施設をとおして本会に提出できること
- 令和6年3月に高等学校を卒業し、その卒業証書等の写しを、施設をとおして本会に提出できること
<自立援助ホーム> ※以下の1〜3いずれかを満たすものが対象
- 助成申請時に、自立援助ホームに入所している、または退所しているが令和3年4月1日以降において入所していた児童(※退所児童については、3か月以上の継続した入所があること)
- 原則として、令和5年4月から令和6年9月までの間に就職した、もしくは就職を予定していること
- 本助成を活用して取得する資格証等の写しを、施設をとおして本会に提出できること
対象資格や助成金額については、以下の通りです。
対象資格 | 助成制度 |
普通自動車運転免許 | 児童1人につき180,000円を限度 |
その他、就職時に有用な各種資格(パソコン操作技術、簿記、TOEIC、介護福祉士、保育士など、就職にあたり取得する資格) | 児童1名につき180,000円を限度として実際に要した金額 |
参考:助成情報|社会福祉法人 全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会
就職活動応援助成・手に職つけよう応援助成
就職活動応援助成・手に職つけよう応援助成とは、赤い羽根福祉基金「盛和塾 社会人定着応援プログラム」に含まれるプログラムの一つで、児童養護施設を退所した方の社会人としての自立を応援する制度です。
この制度は、児童養護施設等の対処後、大学や専門学校等の教育期間卒業後の職業的自立の支援を目的としています。就職に必要な資格取得のための費用について、一人あたり10万円の助成が受けられます。
助成対象となる費用例として、資格取得に必要な備品費や教科書・書籍の購入費、実習費、試験の受験費、交通費などがあります。
介護福祉士養成のための奨学金給付制度
介護福祉士養成のための奨学金給付制度とは、公益財団法人SOMPO福祉財団が提供する支援制度で、福祉および文化の向上に取り組むことを目的としています。主に障害児(者)や高齢者などを対象とした福祉の増進に向け、介護福祉士養成のための奨学金支援を行っています。
この制度の対象となるのは、以下のすべての要件を満たす学生です。
- 2024年4月現在において、社会福祉士及び介護福祉士法第40条に定めるところにより指定を受けた専修学校(専門課程を置く2年課程のものに限る)に在学し、介護福祉士を目指して勉学中の学生
- 経済的な理由により学資の支弁が困難な学生
- 品行方正、学力優秀である学生
- 将来、介護福祉士として活躍する意志のある学生
支給額については、月額3万円相当が年3回に分けて2年間にわたり支給されます。なお、この制度は他の奨学金制度との併願や給付が可能であり、返還義務はありません。
補助金制度を使って取得できる資格には何がある?
補助金制度を利用して取得できる資格には、さまざまな種類があります。
ここでは、教育訓練給付制度で取得可能な対象資格を紹介します。
取得可能な資格の一例として挙げられるのは、以下です。
- マンション管理士
- 行政書士
- 司法書士
- 測量士補
- 土地家屋調査士
- 公認会計士
- 管理業務主任者
- 宅建(宅地建物取引士)
- 簿記検定
- FP(ファイナンシャル・プランナー)
また、この制度を利用できる各予備校・教育会社別の講座について、以下に一例をまとめましたのでご覧ください。
予備校・教育会社 | 対象講座 |
TAC | ビジネス実務法務検定試験、中小企業診断士、行政書士、不動産鑑定士、税理士、ビジネス実務法務検定試験、ファイナンシャル・プランナー、司法書士、米国公認会計士、簿記検定、社会保険労務士、電気主任技術者(電験三種)、建築士、不動産鑑定士、マンション管理士/管理業務主任者、弁理士、貸金業務取扱主任者、通関士、宅地建物取引士 など |
大原 | 社会保険労務士、簿記、税理士、ケアマネージャー、宅地建物取引士、旅行業務取扱管理者、ファイナンシャルプランナー、介護職員初任者研修、基本情報技術者、行政書士 |
クレアール | 税理士、中小企業診断士、簿記検定、宅地建物取引士、司法書士、公認会計士、行政書士、社会保険労務士 |
LEC | 行政書士、管理業務主任者/マンション管理士、土地家屋調査士、ファイナンシャル・プランナー、司法書士、宅地建物取引士、社会保険労務士、弁理士 |
ユーキャン | 福祉住環境コーディネーター、ITパスポート、危険物取扱者、医療事務、インテリアコーディネーター、ケアマネジャー、通関士、簿記2級、気象予報士、調剤薬局事務、第一種電気工事士・第二種電気工事士、旅行管理者、建設業経理士2級、衛生管理者、登録販売者、調理師、社会保険労務士、介護事務(休講中)、日本語教師養成、歯科助手(休講中)、二級ボイラー技士、マンション管理士・管理業務主任者、介護福祉士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(FP) |
スタンディング | FP(ファイナンシャル・プランナー)、税理士、中小企業診断士、社会保険労務士 |
他にも取得可能な資格や受講可能な講座はたくさんあるため、詳しくは厚生労働省の「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座」にてご覧いただけます。
資格取得のための補助金を出してくれる会社はある?
勤めている会社によっては、スキルアップやキャリアアップのために必要な資格取得に関して、補助金制度が設けられている場合があります。
このように企業が資格取得の補助を行う場合は、主に以下の3パターンに分けられます。
- 資格取得にかかった費用の全額、もしくは一部を負担する
- 資格取得後に報奨金を支給する
- 資格取得に成功した従業員に資格手当を支給する
それぞれのパターンについて、特徴を確認しましょう。
資格取得にかかった費用の全額、もしくは一部を負担する
企業が資格取得の補助を行う場合、従業員にとって最も魅力的なパターンの一つは、資格取得にかかる費用の全額または一部を企業が負担することです。この制度は従業員にとって負担が軽減され、資格取得へのモチベーションが高まります。
企業が全額負担する場合、従業員は教材代や受験費用などの費用を自己負担する必要がなくなります。これにより、資格取得に関する経済的な心配が軽減され、従業員はより積極的に資格試験に挑戦できるでしょう。
一方、企業が一部負担する場合は、従業員も一定の負担をする必要がありますが、その負担が軽減されることで資格取得のハードルが下がります。
資格取得後に報奨金を支給する
資格取得後に報奨金を支給する制度は、従業員にとって大きなモチベーションとなるでしょう。合格祝いとして受け取る報奨金は、資格取得への意欲を高めるだけでなく、学習期間中の励みとなります。
ただし、報奨金が支給されるのは資格取得後であるため、合格までの一定の成績や試験合格率を満たさなければならず、プレッシャーやストレスを感じることもあるでしょう。資格取得に成功した場合にしか報酬を得られないため、合格できなかった場合には経済的な損失や失敗感を感じる可能性もある点に注意が必要です。
資格取得に成功した従業員に資格手当を支給する
資格取得に成功した従業員に対し、毎月の給与を上げるといった資格手当を支給する場合もあるでしょう。これにより、貴重な専門知識やスキルの取得が目に見える形で評価され、資格取得によって引き受ける責任や役割に対する報酬として捉えることもできます。
資格取得への積極的な取り組みが報酬として評価されるため、モチベーションが高まりやすいかもしれません。
会社によって資格取得に対する対応が異なるため、自身の会社の制度をよく確認した上で、資格取得に取り組むことが大切です。
まとめ
今回は、資格取得の際に活用できる補助金制度をいくつか紹介しました。
仕事の関係上、働きながら資格を取得することが難しかったり、経済的な問題で資格取得のための資金が賄えなかったりすることがあるかもしれません。そのような場合に、今回紹介した資格取得のための補助制度を活用することを検討してみてはいかがでしょうか。
また、勤務先で資格取得のサポート制度があり、利用できる場合は利用することも方法の一つです。効果的な制度を選んで資格取得に励み、将来のスキルアップやキャリアアップに向けて一歩を踏み出しましょう。