インボイス制度で利用できる助成金は?補助金の対象者や申請方法も解説

インボイス制度で利用できる助成金は?補助金の対象者や申請方法も解説

事業者が正確に消費税を納めるための制度として、2023年10月よりインボイス制度が導入されました。しかし、インボイス制度の導入にリソースを必要とするほか、導入後の経理負担や税負担が増えることにより、不安を抱えている事業者も多いのではないでしょうか。

今回は、インボイス制度で法人や個人事業主が申請できる助成金制度はあるのかどうか、利用すべき制度や負担の軽減方法などについて解説します。

インボイス制度による経営への負担を少しでも減らしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

はじめに確認しておきたい「助成金」と「補助金」の違い

企業が活用できる支援制度には「助成金」や「補助金」がありますが、それぞれの違いについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

まずは、助成金と補助金の違いについて確認しておきましょう。ここでは、各制度の特徴をまとめました。

助成金とは?

助成金と補助金は、ビジネスやプロジェクトの発展を支援するための資金ですが、運用上の違いがあります。助成金は一般的に要件を満たせば給付される傾向があります。つまり、応募者が条件を満たしていれば、確実に受け取れることが特徴です。

一方、補助金は予算や応募者数に限りがあります。そのため、応募が殺到した場合や予算が不足している場合は、抽選などの方法で給付の可否が決定されることがあります。

また、助成金の応募期間は通常比較的長く設定されており、十分な時間が与えられることが一般的です。一方、補助金の応募期間は通常短い傾向にあります。

そのため、助成金のほうが受給のハードルが低く、申請から受給までのプロセスが簡単であるといえます。

補助金とは?

補助金は、政府が特定の政策目標を達成するために中小企業を支援するために提供される資金です。これらの資金は、政府が事前に設定した予算や対象事業の数に制限があり、申請された事業が選定される必要があります。

ただし、申請があったからといって、補助金が確実に支給されるわけではありません。採択されるためには、事業が政府の政策目標に適合していることが求められます。

そのため、助成金と比較すると補助金のほうが受給の難易度が高いことが特徴です。

インボイス制度で利用できる「助成金」は、現段階では無い

インボイス制度の導入時に活用できる助成金については、現時点では提供されていません。

ただし、助成金ではなく補助金に関してはインボイス制度に伴い申請可能な枠があるため、以下より制度例を紹介します。

なお、助成金に関しては今後新たな制度や申請枠が追加される可能性もあるため、インボイス制度の導入を検討する方は最新の情報を追って確認すると良いでしょう。。

インボイス制度で法人や個人事業主が申請できる補助金一覧

インボイス制度で法人や個人事業主が申請できる補助金として、以下の3つの制度が挙げられます。

  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • ものづくり補助金

それぞれの制度について、内容を解説します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がビジネスの効率化や競争力強化のためにITツールを活用する際の支援制度です。

この補助金を受けるには、IT導入補助金事務局に登録されたツールを導入する必要があります。さらに、補助金を申請する際には、「IT導入支援事業者」との連携が求められます。

この制度の対象となるのは、以下に該当する小規模事業者と中小企業です。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

補助額・補助率については以下の通りです。

申請枠補助額補助率
通常枠5万〜150万円未満1/2以内
インボイス枠(インボイス対応類型)10万〜350万円以下1/2〜4/5以内
インボイス枠(電子取引類型)(下限なし)〜350万円以下1/2〜2/3以内
セキュリティ対策推進枠5万〜100万円以下1/2以内
複数社連携IT導入枠補助対象経費によって異なる(3,000万円以下)1/2〜4/5以内

インボイス制度に準拠するためには、新しいハードウェアやソフトウェアの導入が不可欠です。このような場合、IT導入補助金を有効活用できます。

インボイス制度の導入により、これまで補助対象外とされていたPCやスキャナーなどのデジタル機器の購入費用が補助対象となっています。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者がビジネスの拡大や業務の効率化を目指す際に役立ちます。具体的な支援対象には、機器や設備の導入費用、Webサイトや広告の制作費、展示会への参加費などが含まれます。

この制度は、以下のいずれかに該当する小規模事業者が対象です。

業種条件
商業・サービス業5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)20人以下
製造業・その他20人以下

補助額については50万〜200万円の間で決定し、補助率は全ての枠が共通で2/3となっています。

申請枠補助額補助率
通常枠50万円2/3
賃金引上げ枠200万円2/3
卒業枠200万円2/3
後継者支援枠200万円2/3
創業枠200万円2/3

この支援制度では、最近の補正予算によりインボイス枠が追加され、免税事業者から的確な請求書を発行する事業者に対し、補助金の上限額が50万円追加されます。これにより、インボイス特例の条件を満たす小規模事業者にとって、より大きな支援が期待できるでしょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、小規模事業者や中小企業が新たな商品やサービスの開発、および生産プロセスの改善を行う際に活用できる支援制度です。

この補助金は、以下の条件に該当する事業者が対象となります。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

なお、補助額については100万円から4,000万円、補助率は1/2から2/3の間で決定します。

申請枠補助額補助率
通常枠100万~1,250万円1/2(小規模事業者または再生事業者は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠100万~1,250万円2/3
デジタル枠100万~1,250万円2/3
グローバル市場開拓枠100万~3,000万円1/2(小規模事業者または再生事業者は3分の2)
グリーン枠100万~4,000万円2/3

インボイス制度の立ち上げに伴い、デジタル枠ではインボイス制度に対応するためのシステム導入費用も補助対象に含められることになっています。これにより、インボイス制度の実装に必要な経費について、最大1,250円まで支援を受けられます。

助成金・補助金以外にインボイス制度による負担を軽減する方法

助成金や補助金といった制度を活用するほか、以下に挙げる負担軽減措置を利用することもできます。

  • 2割特例
  • 少額返還でインボイス免除
  • 少額取引でインボイス不要

上記の措置を活用し、インボイス制度による負担を軽減できるでしょう。それぞれの内容について解説します。

2割特例

免税事業者から課税事業者への移行を円滑にするため、インボイス制度導入に伴い、2割特例が設けられました。この特例では、免税事業者が課税事業者になった場合の税負担が、売上税額の20%まで軽減されます。

通常、インボイス制度では請求書の整理やインボイスの管理が必要ですが、2割特例の適用により、これらの手続きが不要になります。また、消費税の計算も売上税額の把握によって簡略化されます。

この特例の適用期間は2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間であり、特例を適用するための事前届出は不要です。特例の適用を希望する場合の手続きは、消費税の確定申告書に希望を記載するだけで完了します。

少額返還でインボイス免除

商品の返品や値引き、割戻しを行う際、税込み1万円未満の少額の対価に関しては返還インボイスの発行が不要です。この免除は個人全体に適用され、期間の制約もないことが特徴です。

この措置により、返金手続きに伴う事務作業の負担が減り、かつての懸念であった振込手数料などの手続きが削減されます。少額の返金に関するインボイス手続きが不要となり、事業者の負担がいくらかは軽減されるでしょう。

少額取引でインボイス不要

少額取引を行った場合(1回の取引が1万円未満)については、少額特例によりインボイスの発行が免除されます。この特例を利用するために必要なのは、取引内容を帳簿に記載することです。これにより、従来のような請求書の手続きが不要になるため、業務のスムーズ化が期待されます。

少額特例の適用期間は2023年10月1日から2029年9月30日までで、課税売上高が1億円以下の事業者や特定機関の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象です。国税庁では、1回の取引での税込価格が1万円未満であることをインボイス不要の条件としています。

インボイス制度に関わる補助金を受給する際の注意点

インボイス制度に関わる補助金を受給する際は、以下のポイントに留意しましょう。

  • 補助金がいつまで申請可能なのかを確認しておく
  • 必要な機器をあらかじめ確認しておく
  • 補助金の要件をあらかじめ確認しておく
  • 受け取った補助金は課税対象となる

それぞれの項目について、以下より解説します。

補助金がいつまで申請可能なのかを確認しておく

補助金を受け取るには、申請期限を事前に確認することが重要です。各補助金には申請の締め切りが設定されており、期限を過ぎると次の募集時期まで待つ必要があります。

スケジュールを事前に把握し、申請手続きに間に合わせるために準備を進めましょう。また、予期せぬ問題が発生する可能性も考慮して、準備に余裕を持っておくと安心です。

必要な機器をあらかじめ確認しておく

補助金を受け取る上で、必要な機器を事前に把握しておくことが欠かせません。

補助金は事業に不可欠な経費に対して支給されるため、まずはインボイス制度に適合するためにどの機器が必要で、その費用はいくらかを明確にすることが必要です。

これにより、適切な補助金を選択する際にも的確な判断ができるでしょう。

補助金の要件をあらかじめ確認しておく

補助金を受給する際には、事前に補助金の要件をしっかりと確認しておきましょう。

補助金の種類によって要件は異なり、さらには定期的に見直しが行われることもあります。そのため、各補助金を提供している機関のWebサイトなどで最新の情報を入手し、自身が要件を満たしているかどうかを事前に検討しておくことが重要です。

受け取った補助金は課税対象となる

補助金を受け取る際、受け取った補助金が課税対象になることも覚えておきましょう。補助金は収益として扱われるため、所得税や法人税の対象です。

このため、補助金を受け取った後は、補助金を受ける前の経費から補助金を控除した残額が、所得税や法人税の課税対象となることに注意する必要があります。

インボイス制度の助成金・補助金に関してよくある質問

ここでは、インボイス制度における支援制度に関してよくある質問をまとめました。

なぜ経済産業省はインボイス補助金を支援しているの?

経済産業省がインボイスに関する補助金を提供しているのは、インボイス制度の導入による事業者負担を軽減するためです。

インボイス制度の導入により、事業者は新たなツールの導入や取引の変化による負担が予想されます。このような課題に対処し、事業者の負担を軽減するため、政府は経済産業省を中心に補助金を設けています。

経済産業省は、業界の変化に柔軟に対応し、事業者がスムーズにインボイス制度に適応できるような支援に取り組んでいます。

個人事業主がインボイス制度のためにパソコンを買った場合、使える補助金は?

インボイス制度のためのパソコン購入費用が補助対象となる制度例として、IT導入補助金が挙げられます。以下に、IT導入補助金の基本内容についてまとめました。

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が業務効率化や事業拡大を図るためにITツールを導入する際の支援として経済産業省が推進する制度で、対象事業者は従業員数や業種によって定められています。なお、補助額や補助率は申請枠によって異なります。

この補助金を利用するためには、IT導入補助金事務局に登録されたツールを導入するほか、IT導入支援事業者との連携が必要です。

さらに、この補助金はインボイス制度に対応するための新しいハードウェアやシステムの導入にも利用できます。このように、IT導入補助金は事業者のIT化による業務の効率化や競争力の強化を支援しています。

インボイスに登録すると補助金が50万円増えるって本当?

小規模事業者持続化補助金では、インボイス制度を導入するために免税事業者から的確請求書の発行事業者になった場合、補助金の上限額が一律で50万円追加されます。小規模事業者持続化補助金とは、販路拡大や業務効率化を目指す小規模事業者が利用できる補助金制度です。

これにより、従来の補助上限額50〜200万円が引き上げられ、的確請求書発行事業者は100〜250万円の補助上限枠を利用可能です。

なお、補助対象となる経費には、機械装置の導入費用、税理士への相談費用、広報費、開発費、展示会出展費、委託費などが含まれます。

まとめ

今回は、インボイス制度を導入する事業者が活用できる支援制度について、IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金・ものづくり補助金の3つを紹介しました。

現時点で提供されているのは補助金のみであり、インボイス制度に関する助成金は提供されていませんが、インボイス制度を導入する企業の増加に伴い、新たな助成金制度の設置や制度改定が行われる可能性もゼロではありません。

インボイス制度の導入を検討している事業者の方は、記事内で紹介した支援制度やポイントを参考にしながら、活用できそうな制度の内容を確認し、受給のための準備を進めてみてください。

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