「ホームページ制作にあたって、利用できる助成金って何があるの?」「補助制度を上手く活用して経費負担を減らしたい」と悩む中小企業や個人事業主の方は多いのではないでしょうか。
今回は、ホームページ制作で活用できる助成金・補助金や申請のポイントについて解説します。
ホームページ制作の際の助成金・補助金申請の流れやポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
助成金と補助金の違い
まずは、助成金と補助金の違いについて確認しておきましょう。
なお、共通要素として、助成金と補助金は企業や個人に対して提供される資金支援であるため、返済の必要がありません。これらの支援は、特定の政策目標を達成したり、特定の活動や事業を促進したりするために提供されます。
受給者は、一定の条件や要件を満たし、申請書類を提出することで支援を受けられるのが特徴です。
助成金とは
助成金は、一定の要件を満たすと必ず給付される傾向がありますが、補助金は予算や募集枠に限りがあり、応募者が多い場合は抽選で選ばれることがあります。
また、助成金の応募期間は通常比較的長く、応募しやすい傾向がありますが、補助金の応募期間は短く設定されることが一般的です。
そのため、補助金と比較すると助成金のほうが受け取りの難易度が低く、受給しやすいことが特徴といえます。
補助金とは
補助金は、行政が特定の政策目標に沿って選定した事業に対し提供される資金で、中小企業の活性化を促進します。
これらの資金は、予算や対象事業の数に上限があり、申請された事業が採択される必要があります。しかし、申請しても必ずしも支給されるわけではない点に注意し、万が一受給対象外となった場合の計画も立てておく必要があるでしょう。
ホームページ作成で活用できる助成金・補助金
ここでは、ホームページ制作で活用できる助成金・補助金について、以下の3つの制度を紹介します。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
それぞれの制度について内容を確認しましょう。
IT導入補助金
IT導入補助金は、業務効率化や成長を目指す中小企業が、ITツールを導入する際に利用できる支援制度です。
この補助金を受けるには、いくつかの条件があります。1つ目に、導入可能なツールはIT導入補助金事務局に登録されているものに限られること。2つ目に、補助金を申請する際には、「IT導入支援事業者」と協力することが求められます。
IT導入補助金の対象となる事業者は、以下に該当する小規模事業者です。
対象事業者 | 業種 | 条件 |
小規模事業者 | 商業・サービス業 | 従業員が5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 従業員が20人以下 | |
製造業・その他 | 従業員20人以下 | |
中小企業 | 製造業 | 資本3億円以下もしくは従業員300人以下 |
卸売業 | 資本1億円以下もしくは従業員100人以下 | |
サービス業 | 資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下 | |
小売業 | 資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下 | |
ソフトウェア業 | 資本3億円以下もしくは従業員300人以下 | |
旅館業 | 資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下 | |
その他の業種 | 資本3億円以下もしくは従業員300人 |
補助額・補助率については以下の通りです。
申請枠 | 補助額 | 補助率 |
通常枠 | 5万〜150万円未満 | 1/2以内 |
インボイス枠(インボイス対応類型) | 10万〜350万円以下 | 1/2〜4/5以内 |
インボイス枠(電子取引類型) | (下限なし)〜350万円以下 | 1/2〜2/3以内 |
セキュリティ対策推進枠 | 5万〜100万円以下 | 1/2以内 |
複数社連携IT導入枠 | 補助対象経費によって異なる(3,000万円以下) | 1/2〜4/5以内 |
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、企業が業態転換・事業再編・異業種参入・国内回帰に取り組む際に活用できる補助制度です。
この制度は、以下に該当する中小企業や中堅企業が対象です。
対象事業者 | 業種 | 条件 |
中小企業 | 製造業 | 資本3億円以下もしくは従業員300人以下 |
卸売業 | 資本1億円以下もしくは従業員100人以下 | |
サービス業 | 資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下 | |
小売業 | 資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下 | |
ソフトウェア業 | 資本3億円以下もしくは従業員300人以下 | |
旅館業 | 資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下 | |
その他の業種 | 資本3億円以下もしくは従業員300人 | |
中堅企業 | 上に並ぶ中小企業以外 | 資本金10万円未満 |
補助額は100万円から1.5億円の間と幅広く、補助率は1/2から2/3の間で決まります。
申請枠 | 補助額 | 補助率 |
成長枠 | 100万~7,000万円 | 中小企業:1/2(大規模な賃上げを実施する場合は2/3)中堅企業:1/3(大規模な賃上げ実施する場合は1/2) |
グリーン成長枠 | 100万~1.5億円 | 中小企業:1/2(大規模な賃上げを実施する場合は2/3)中堅企業:1/3(大規模な賃上げ実施する場合は1/2) |
卒業促進枠 | 成長枠・グリーン成長枠に準ずる | 中小企業:1/2中堅企業:1/3 |
大規模賃金引上促進枠 | 100万~3,000万円 | 中小企業:1/2中堅企業:1/3 |
産業構造転換枠 | 100万~7,000万円 | 中小企業:2/3中堅企業:1/2 |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 100万~3,000万円 | 中小企業:2/3中堅企業:1/2 |
最低賃金枠 | 100万~1,500万円 | 中小企業:3/4中堅企業:2/3 |
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、販路拡大や業務効率化に取り組む際小規模事業者がが利用できる支援制度です。この制度の補助対象となるのは、機械装置の導入費用やサイト・チラシの制作費用、展示会の出店費用などにかかった経費が含まれます。
小規模事業者持続化補助金の受給対象は、以下に該当する小規模事業者です。
業種 | 条件 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
サービス業(宿泊業・娯楽業) | 20人以下 |
製造業・その他 | 20人以下 |
なお、補助額は50万〜200万円の間で決定し、補助率は全枠共通で2/3となっています。
申請枠 | 補助額 | 補助率 |
通常枠 | 50万円 | 2/3 |
賃金引上げ枠 | 200万円 | 2/3 |
卒業枠 | 200万円 | 2/3 |
後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 |
創業枠 | 200万円 | 2/3 |
ホームページ作成の際に助成金・補助金を申請する流れ
ここからは、ホームページ作成の際に助成金・補助金を申請する流れについて確認しましょう。
- 助成金・補助金を選び要領を確認する
- 必要書類を準備して申請する
- 採択通知を受けたら交付申請を行う
- 事業を行い、完了したら助成金・補助金を受け取る
それぞれのステップについて解説します。
助成金・補助金を選び要領を確認する
補助金や助成金の種類は多くあるため、まずは自社の事業形態や目標に合った適切な支援制度を選びましょう。その際には、各制度の要領や条件を詳しく確認することが重要です。
例えば、申請資格や支給額、申請手続きなどを慎重に調査し、最も適した補助金・助成金を見極めることが欠かせません。また、選択した制度の詳細な要領を把握し、申請書類の準備や手続きの流れを理解することも大切です。
さらに、申請期限や申請書類の提出先なども確認しておくことをおすすめします。適切な補助金・助成金を見極め、的確な申請を行うことで、効果的な支援を受けやすくなるでしょう。
必要書類を準備して申請する
補助金や助成金の申請に必要な書類はさまざまですが、一般的には「応募申請書」「事業計画書」「経費明細書」「事業要請書」などが挙げられます。これらの書類は、申請先に提出する際に必要です。
申請書類の準備が整ったら、指定された期日までに事務局に提出しましょう。提出方法は、書面による郵送か電子申請かを選択します。
ただし、申請先の補助金・助成金によって異なるため、公募要領を事前に確認しておくことが重要です。正確な書類の提出と手続きの遂行によって、スムーズに申請を行えるでしょう。
採択通知を受けたら交付申請を行う
申請が審査を通過し、採択通知を受け取った場合でも、手続きはまだ終わりません。次に行うのは「交付申請」です。
採択通知を受け取った後、指定された期間内に交付申請を行います。交付申請が承認されると、ついに「交付決定(補助事業の開始)」となります。
採択通知を受け取ったら、速やかに交付申請に取り組みましょう。それによって、補助金や助成金の実際の受け取りが決定されます。手続きを確実に進めることで、補助金の利用がスムーズに行われ、事業の遂行が円滑になります。
事業を行い、完了したら助成金・補助金を受け取る
申請した内容で事業を実施し、その実績や経費を申請します。申請確認が完了すると、補助金額の確定・交付手続きが行われます。
この段階では、実際に事業を遂行し、その成果や活動内容を詳細に報告することが重要です。申請内容と事業実施内容が一致していることが確認された後、補助金の支給手続きが進みます。
手続きが円滑に進むよう、必要な書類や報告内容をしっかりと整えておきましょう。
ホームページ作成で助成金・補助金を利用する際のポイント
続いて、ホームページ作成で助成金・補助金を利用する際のポイントについて、以下の4項目を解説します。
- 必ずしも受給できるとは限らない
- 申請には時間がかかる
- 助成金や補助金は事業終了後に支払われる
- 不正受給は法律違反となるためしないこと
それぞれの項目を確認しましょう。
必ずしも受給できるとは限らない
補助金を申請しても必ずしも受け取れるとは限らず、採択されるかどうかは競争率や提案内容の優位性に左右されます。申請に時間や手間をかけても、採択されない可能性があるため注意しましょう。
そのため、過度なリソースを割くことはリスクを伴います。不採択となった場合、事業計画が狂ってしまう可能性があるため、事前に計画を立てておくことが欠かせません。
補助金はあくまで「補助的な資金」と考え、自社のリソースを準備した上で、専門家のサポートを受けて慎重に申請することが重要です。
申請には時間がかかる
助成金や補助金を申請する際には、事業計画書や収支計画、申請書類など複数の文書が必要です。特に補助金の申請は競争率が高く、主催団体に事業の価値をアピールすることが不可欠です。また、創業後の帳簿提出も求められることがあります。
これらのことから、書類の準備には時間と労力が必要になるため、専門家の支援も検討すべきです。ただし、その場合は追加費用がかかることもあるため注意しましょう。
なお、提出書類がどれほど優れたものであっても、採択は保証されていません。採択されない可能性もあるため、自己資金や社内リソースを事前に確保しておくことが重要です。
助成金や補助金は事業終了後に支払われる
補助金の受給は即時ではなく、事業終了後となるため、受け取りまでの自己資金が必要であることを押さえておきましょう。
通常の手続きでは、まず申請期間内に申請を行い、その後採択・不採択の通知を待ちます。採択された場合でも、すぐに支給されるわけではなく、事業の実施後に実績報告を提出し、その審査を経て支給されるのが一般的な流れです。
従って、補助金を受けるためには申請書類を整えるだけでなく、事業遂行のための資金も必要になります。補助金が支給されるまでの期間中、備品の購入や給与の支払いなどの費用は自己資金で賄わなければならないことに注意しましょう。
特に、大規模な補助金を目指す場合は、その分の資金調達が必要になるかもしれません。申請前に自社の財務状況を把握し、必要な資金を確保しておくことが大切です。
不正受給は法律違反となるためしないこと
虚偽の補助金申請は、絶対に避けるべき行為です。虚偽が露呈すれば、補助金の返還だけでなく、懲役や罰金のリスクもあります。また、代表者が逮捕されたり、懲役を宣告されると、企業の信用が失墜し、存続が危ぶまれることもあるでしょう。
そのほか、助成金や補助金の受け取りについて悪質な業者やブローカーに騙される可能性もあるため、怪しい勧誘には警戒が必要です。不正が露呈しても、業者やブローカーは責任を負わないことも覚えておきましょう。
ホームページ作成における助成金・補助金に関してよくある質問
ここでは、ホームページ作成における助成金・補助金についてよくある質問をまとめました。
IT導入補助金とは?わかりやすく教えてください。
IT導入補助金は、中小企業が業務効率化や成長を目指してITツールを導入する際に利用できる支援制度です。補助金を受けるには、IT導入補助金事務局に登録されたツールを利用し、IT導入支援事業者と協力する必要があります。
対象となる事業者は、従業員数や業種によって異なり、例として商業・サービス業は従業員が5人以下、製造業やその他の業種は従業員が20人以下の小規模事業者が対象です。また、中小企業の場合は、製造業は資本3億円以下または従業員300人以下、サービス業は資本5,000万円以下または従業員100人以下が条件です。
補助額は5万円から450万円で、補助率は1/2から3/4になります。申請枠には通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グローバル市場開拓枠、グリーン枠があり、それぞれの枠に応じて補助額や補助率が異なります。
個人事業主が活用できるホームページ作成の補助金は何がある?
本記事で紹介している以下3つの制度は、いずれも個人事業主が利用可能です。
- IT導入補助金
- 事業再構築補助金
- 小規模事業者持続化補助金
ホームページ作成の際に利用できる補助金を探している個人事業主の方は、上記制度の利用を検討してはいかがでしょうか。
商工会議所が募集しているホームページ作成の助成金は何がある?
東京商工会議所が募集しているホームページ作成に関連する助成制度は、小規模事業者持続化補助金が挙げられます。
小規模事業者持続化補助金は、販路拡大や業務効率化に取り組む小規模事業者が利用できる支援制度です。機械装置の導入費用や広告宣伝費、展示会の出店費用など、事業拡大にかかる経費が対象となります。
受給対象は、商業・サービス業は5人以下、サービス業(宿泊業・娯楽業)は20人以下、製造業・その他は20人以下の小規模事業者です。補助額は50万円から200万円で、補助率は全枠で2/3です。申請枠には通常枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠があり、それぞれ異なる補助額と補助率が設定されています。
まとめ
今回は、ホームページ作成の際に活用できる助成金制度について紹介しました。ホームページを作成して運用する上では、初期費用だけでなく運用コストが発生するため、多くの経費を要します。
少しでもホームページ制作における費用負担を減らす方法として、助成金や補助金制度を使うのがおすすめです。
記事で紹介した制度例を参考にしながら、自社にとって最適な支援制度を活用できるよう、必要な準備を進めてみてはいかがでしょうか。