【2024年】中小企業が設備投資の際に活用できる補助金・助成金一覧

中小企業が設備投資の際に活用できる補助金・助成金一覧

事業の継続的な発展に取り組むために、新たな機材やシステムの導入といった設備投資を検討している中小企業も多いのではないでしょうか。

今回は、中小企業が設備投資の際に活用できる補助金・助成金について、7種類の制度を紹介します。

また、記事後半では補助金・助成金以外にも設備投資を行った際に活用できる支援制度を紹介していますので、設備投資を検討している中小企業や個人事業主の方は記事の内容を参考にして、自社に合った制度を活用していきましょう。

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森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

中小企業が設備投資で活用できる補助金・助成金一覧

中小企業が設備投資の際に活用できる補助金・助成金として、今回は以下の7種類を紹介します。

  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 事業再構築補助金
  • 業務改善助成金
  • 働き方改革推進支援助成金
  • 事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)
  • IT導入補助金

それぞれの制度について、要件や補助率、補助額などを解説します。各制度によって適用条件が異なるため、しっかりと確認しましょう。

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、生産性向上に取り組むために中小企業が革新的な商品やサービスの開発、生産プロセスの改善を行う場合に利用できる補助金制度です。

この制度は、以下に当てはまる小規模事業者と中小企業が対象です。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

なお、補助額については100万円から4,000万円、補助率は1/2から2/3の間で決定します。

申請枠補助額補助率
通常枠100万~1,250万円1/2(小規模事業者または再生事業者は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠100万~1,250万円2/3
デジタル枠100万~1,250万円2/3
グローバル市場開拓枠100万~3,000万円1/2(小規模事業者または再生事業者は3分の2)
グリーン枠100万~4,000万円2/3

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が販路拡大や業務効率化に向けた取り組みを行う際に経費の一部を支援してもらえる制度です。主な経費例として、機械装置の導入費用やサイト・チラシの制作費用、展示会の出店費用などに利用できます。

この制度の対象となるのは、以下に当てはまる小規模事業者です。

業種条件
商業・サービス業5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)20人以下
製造業・その他20人以下

なお、補助額は50万〜200万円の間で決定し、補助率は全枠共通で2/3です。

申請枠補助額補助率
通常枠50万円2/3
賃金引上げ枠200万円2/3
卒業枠200万円2/3
後継者支援枠200万円2/3
創業枠200万円2/3

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、中小企業や中堅企業が業態転換や事業再編、異業種参入、国内回帰などに取り組む際に、経費の一部を援助してもらえる制度です。

この制度は、以下に該当する企業が対象となります。

対象事業者業種条件
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人
中堅企業上に並ぶ中小企業以外資本金10万円未満

補助額は100万円から最大1.5億円と幅広く、補助率は申請枠や企業の形態によって異なり、1/2から2/3の間で決定します。

申請枠補助額補助率
成長枠100万~7,000万円中小企業:1/2(大規模な賃上げを実施する場合は2/3)中堅企業:1/3(大規模な賃上げ実施する場合は1/2)
グリーン成長枠100万~1.5億円中小企業:1/2(大規模な賃上げを実施する場合は2/3)中堅企業:1/3(大規模な賃上げ実施する場合は1/2)
卒業促進枠成長枠・グリーン成長枠に準ずる中小企業:1/2中堅企業:1/3
大規模賃金引上促進枠100万~3,000万円中小企業:1/2中堅企業:1/3
産業構造転換枠100万~7,000万円中小企業:2/3中堅企業:1/2
物価高騰対策・回復再生応援枠100万~3,000万円中小企業:2/3中堅企業:1/2
最低賃金枠100万~1,500万円中小企業:3/4中堅企業:2/3

業務改善助成金

業務改善助成金とは、中小企業が生産性向上を目指す取り組みを行う際、その費用の一部を助成してもらえる制度です。助成を受けるための条件として、生産性向上のための設備投資(機械設備・コンサルティング導入・人材育成・教育訓練など)を行うのとともに、事業場内最低賃金の引き上げを行う必要があります。

この制度の対象となるのは、以下の条件を満たす事業者です。

  • 中小企業・小規模事業者である
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない

中小企業・小規模事業者とは、以下の要件に該当する事業者のことです。

業種資本または出資額常時使用する従業員数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他3億円以下300人以下

また、助成額については設備投資等に要した費用と助成率を乗じた額で決定します。

事業場内最低賃金額助成率
900円未満9/10
900円以上950円未満4/5(生産性要件に該当する場合は9/10)
950円以上3/4(生産性要件に該当する場合は4/5)

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金とは、中小企業が働き方改革に取り組むために、設備投資によって生産性向上を図り、労働時間を管理する際に利用できる助成制度です。この制度では、労働時間短縮や有給休暇・特別休暇の取り組み促進に取り組む際、設備投資にかかった費用の一部が助成されます。

この制度の対象となるのは、以下を満たす事業者です。

業種資本または出資額常時使用する従業員数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

また、制度を利用する事業者は、上記に加え以下すべての条件を満たしている必要があります。

  • 労働者災害補償保険(労災保険)の適用事業主である
  • 交付申請時点で成果目標の設定条件を満たしている
  • 全ての対象事業場で、交付申請時点で年5日の年次有給休暇の取得に向けた就業規則を整備している

助成金を受け取るための成果目標については、3項目のうち1つ以上を選択します。

  • 月60時間以下、又は月60時間を超え月80時間以下に上限を設定し、所轄労働基準監督署長に届け出を行う
  • 全ての対象事業場において、年次有給休暇の計画的付与の規定を新たに導入する
  • 全ての対象事業場において、時間単位の年次有給休暇の規定を新たに導入し、かつ、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇)の規定をいずれか1つ以上を新たに導入する

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新枠)

事業承継・引継ぎ補助金の経営革新枠とは、事業の承継によって経営革新を図る中小企業が、設備投資や販路拡大に取り組む際に利用できる補助金制度です。経営革新枠には、「創業支援型(I型)」「経営者交代型(II型)、「M&A型(III型)」の3類型があります。

この制度の対象となるのは、以下の条件を満たす事業者です。

業種分類資本金の額又は出資の総額常勤従業員数
製造業その他 ※13億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業 ※25千万円以下100人以下

※1:ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下

※2:ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下

出典:事業承継・引継ぎ補助金(経営革新) 

また、上記に加えて以下の要件を満たしている必要があります。

  • 国内で業務を営む
  • 地域社会に貢献する中小の企業主
  • 反社会的な勢力とは無縁である
  • 法令を遵守し、違反行為がない
  • 事務担当からの質問や資料提供の依頼に対応可能である
  • 指示に従って書類を修正したり通知を行える
  • 補助金の返還が必要な場合に、事務担当者に負担をかけない
  • 補助金の指定停止や指名停止の処置を受けていない
  • 提供されたデータの活用に同意する
  • 調査やアンケートに協力することができる

この制度の補助上限額は、一定の賃上げを実施すると上限額が変動し、100万〜600万円(もしくは800万円)です。なお、補助率については補助対象者の要件によって異なり、2/3もしくは1/2以内の間で決定します。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツールなどを導入して設備投資を行う際に利用できる制度です。この制度の主な目的は、企業の生産性向上や事業拡大を図ることです。

なお、この制度を利用する場合、導入できるツールはIT導入補助金事務局に登録されたものに限られ、なおかつIT導入支援事業者と連携している必要があります。

対象となる中小企業は、以下の通りです。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

補助額・補助率については以下の通りです。

申請枠補助額補助率
通常枠5万〜150万円未満1/2以内
インボイス枠(インボイス対応類型)10万〜350万円以下1/2〜4/5以内
インボイス枠(電子取引類型)(下限なし)〜350万円以下1/2〜2/3以内
セキュリティ対策推進枠5万〜100万円以下1/2以内
複数社連携IT導入枠補助対象経費によって異なる(3,000万円以下)1/2〜4/5以内

中小企業が設備投資を行う際に活用できるその他の制度

補助金・助成金のほか、以下の制度も中小企業の設備投資に対して適用されます。

  • 先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例
  • 中小企業経営強化税制
  • 中小企業投資促進税制

これらの制度は、設備投資を行った資産に対して発生する税額について、一定の割合で控除が受けられるものです。上記3つの制度について、それぞれの内容を解説します。

先端設備等導入計画に係る固定資産税の特例

先端設備等導入計画に関する固定資産税の特例は、先端技術を導入し設備投資を行うことで中小企業の業務効率向上を図る際に利用できる制度です。地方自治体が認定した「先端設備等導入計画」を持つ中小事業者は、設備投資に関連する固定資産税の特別措置を受けることができます。

以下のいずれかに該当する中小企業であれば、導入した設備に対する固定資産税が導入当初3年間は2分の1に軽減される仕組みです。

業種分類中小企業等経営強化法第2条第1項
資本金の額又は出資の総額常時使用する従業員の数
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業5千万円以下100人以下
ゴム製品製造業(政令指定業種)3億円以下900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業(政令指定業種)3億円以下300人以下
旅館業(政令指定業種)5千万円以下200人以下

中小企業経営強化税制

中小企業強化税制とは、中小企業が2017年4月1日から2025年3月31日までの期間に「経営力向上計画」に基づき生産性向上やデジタル化に役立つ設備投資を行った場合、特別償却もしくは税額控除を受けられる制度です。

この制度の対象となるのは、青色申告書を提出する中小企業または農業協同組合等、もしくは商店街振興組合で、なおかつ中小企業等経営強化法に規定の経営力向上計画の認定を受けた者です。

特別償却が可能な限度額は、設備投資を行ったものの取得価格から、普通償却限度額を控除した金額に相当する金額とされています。

また、税額控除の限度額については、特定経営力向上設備等の取得価格に対し、7%相当額までとなっています。なお、資本金額もしくは出資金額が3,000万円を超える法人以外の特定中小企業者においては、10%相当額が控除対象となります。

そのほか、税額控除の限度額が法人税額の20%を超え、年度内に限度額を控除しきれない場合、繰越税額控除限度超過額を1年間まで繰越可能です。

中小企業投資促進税制

中小企業投資促進税制とは、中小企業が機械装置などの設備投資を行った際、取得価格の30%を特別償却、もしくは7%の税額控除を受けられる制度です。なお、税額控除が受けられるのは、個人事業主と資本金が3,000万円以下の法人に限られます。

この制度の対象となるためには、以下のいずれかの設備投資を行うことが前提です。

  • 1台160万円以上の機械及び装置
  • 1台120万円以上、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上の測定工具及び検査工具
  • 1つ70万円以上、複数合計70万円以上のソフトウェア
  • 社労操縦業3.5トン以上の貸物自動車
  • 内航船舶(取得価格の75%)

償却限度額については、投資を行った設備の基準取得価格の30%相当額の特別償却限度額を、普通償却限度額に加えた金額で計算します。また、税額控除限度額は基準取得価格の7%相当額と定められています。

まとめ

今回は、中小企業が設備投資を行う際に活用できる補助金・助成金制度について解説しました。

国や地方自治体が提供する制度にはさまざまなものがあり、制度によって適用条件や内容が異なります。補助金・助成金制度を有効活用するためには、事業内容や事業規模などに合わせた制度を選ぶことが欠かせません。

記事で紹介した内容を参考に、中小企業の持続的な成長に役立つ補助金・助成金制度を利用しましょう。

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