【2024年版】NPO法人を設立するともらえる助成金について徹底解説

【2024年版】NPO法人を設立するともらえる助成金について徹底解説

NPОとは、直訳すると「非営利団体」を意味します。とはいえ、そのNPОの活動内容や種類については詳しく知らない人も多いことでしょう。

今回は、NPОとは何か、その種類やNPО法人を設立するともらえる助成金についてを解説していきます。

NPОについて知りたい、助成金をもらえる方法が知りたいと思っている方にとっては有益な記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

NPOの概要や種類についておさらい

まず、NPОの概要と種類について解説していきますので見ていきましょう。

NPOとは?

NPОは、「Non-Profit Organization」または「Not-for-Profit Organization」の略であり、どちらも意味は同じで「利益を必要としない団体(組織)」と訳されるので非営利団体を意味します。

非営利団体なので、目的は利益を団体内で分配することではありません。とはいえ、無償で活動をしなければならないのではなく、得た利益を地域や社会活動の貢献のために役立てていくことができます。

NPОと一般企業の大きな違いとしては、その活動目的にあります。企業は事業で得た収益を分配し、社会にお金を循環させる事を主業務とする営利目的で活動していますが、NPОは上記でもお伝えしたように、非営利を目的としているので分配はしません。

NPOの種類

NPОの種類はおおまかに分けると、法人化しているNPОか、法人化していないNPОのどちらかになります。

詳しくは下記で説明していきます。

NPO団体

NPО団体とは、広義と狭義に分かれる場合があります。

広義では、法人化しているものを含めてNPО活動をしている全ての団体のことをNPО団体と呼ぶことがあります。狭義とは、法人格を与えられていない、法人化していないNPО団体のことです。

今回は狭義のNPО団体としての説明をしていきます。

まず、法人格とは法律上の人格のことをいい、権利や義務の主体となることのできる資格という意味になります。法の上では組織や団体もこの「人格」があるものとみなされていて、それを「法人」と呼びます。

NPО団体とは法人格を有していないので、その団体の代表を中心に、1人1人が個人としての人格扱いとなります。「団体」とは呼ばれていても、活動は個人個人の集まりとなるわけです。

例えば銀行口座の開設も代表者個人の名義にする必要があり、代表者が交代した場合は全ての名義を新しい代表者に変更しなければなりません。

NPO法人

NPО法人とは、法人格を持ったNPОのことで、正式には特定非営利活動法人と言います。以前は法人格を有する制度がありませんでしたが、1998年にNPО法(特定非営利活動促進法)が開始となり、NPОは一定の条件を満たしていれば、法人化できるようになりました。

NPО法人の大きなメリットとしては、なんといっても法人化することにより社会的な信用がアップするという点です。

あとは、法人化の設立にかかる費用が少額で済む点や、法人格が与えられることでNPО団体に比べて費用を集める手段が広がるため、事業展開しやすいといえます。

ただし、法人化することによるデメリットもあります。例えば、設立するまでの申請から登記までに3ヵ月程時間がかかることや、活動分野が決められた20種類に限定されている事、設立時に10人の社員(会員)が必要である事や、情報公開が義務化されているなどです。

そして非営利の活動や事業と収益事業、それぞれ異なる会計が必要になるため、税務処理が一般企業よりも複雑になってきます。

これらを加味した上で、自分に合っている方法を選ぶのがおすすめです。

認定NPO法人

認定NPО法人(認定特定非営利活動法人)とは、NPО法人よりも厳しい基準を満たし、より高い公益性を持って活動していることを認定されたNPО法人のことを言います。

認定NPО法人になるには、多くの市民からの支援を受けているかが判断されるPST(パブリックサポートテスト)の条件を満たしていなければならないなどの審査基準があります。その代わりに、認定されると税制が優遇されるのは大きなメリットです。

法人化として設立した後、5年以内に運営組織及び活動が適正であり、一定の基準をクリアした場合、所轄庁より仮認定を受けられる仮認定NPО法人という制度もあります。

NPO法人の設立でもらえる助成金一覧!いくら受給できるかも解説

NPО法人は、ほかの団体や法人に比べて認知度や社会的信用性が高く、資金調達に有利になることがあります。受給できる助成金については、国や都道府県、自治体などで募集されています。

利用できる助成金については、以下のようなサイトから検索できます。

今回は、その中の一部の助成金制度をいくつかピックアップして解説していきますので、一緒に見ていきましょう。

1. 2024年度 伝統芸能体験活動助成

実施団体であるアーツカウンシル東京は、伝統芸能の普及と振興を目的とした事業を助成します。この事業では、伝統芸能の実技体験を通じて、初心者でも参加しやすく、定期的な練習への参加を促す取り組みを支援します。

具体的には、楽器演奏や舞踊、華道、茶道、書道などの実践を通じた体験プログラムが対象となります。参加者は一定期間、複数回の体験が可能であり、伝統芸能未経験者も歓迎されます。

募集期間は2024年3月1日から5月8日までで、助成対象の実施期間は2024年9月1日から2025年8月31日までです。助成上限額は100万円であり、助成対象経費の1/2以内が助成されます。

参考:https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/what-we-do/support/grants/tokyo-grant-program/63962/

2. 第50回(令和6年度)日本健康開発財団研究助成

日本健康開発財団は、未発表の先進的で独創的な研究を対象とした事業を実施します。このプログラムでは、温泉療法や入浴に関する研究、温泉療法を導入した保養システムに関する研究、および当財団事業に関連した国民の健康づくりに関する研究が対象です。

募集は2024年4月14日に締め切られ、対象分野は保健・医療・福祉、災害救援、子どもの健全育成です。総額500万円の助成金が用意されています。

参考:http://www.jph-ri.or.jp/research/index.html#anchor2

3. R6 能登半島地震 緊急支援基金

公益財団法人公益推進協会は、被災地における令和6年能登半島地震の被災者支援を目的に、「令和6年能登半島地震」により被災された方々を支援するための助成金を提供します。

助成対象となるのは、復興支援活動、要配慮者支援活動、医療支援活動、食事・物資配布支援活動、その他基金の目的達成に資する活動を行う非営利団体です。

助成対象期間は2024年1月1日から2024年12月31日までで、対象経費は助成金の使途に関連する経費です。募集は2024年2月1日から2024年4月8日まで行われ、助成金総額は10,000,000円で、1件あたりの上限額は1,500,000円です。

参考:https://kosuikyo.com/%e5%8a%a9%e6%88%90%e9%87%91-2

4. パタゴニア環境助成金プログラム

パタゴニア・インターナショナルインク日本支社は、環境保護団体への寄付を通じて環境保護活動を支援しています。対象事業は多様性と公正性を尊重し、環境政策や偏見に立ち向かう活動であり、計測可能で戦略的な活動を行う団体を対象にしています。

また、日本を含む国際助成では、プロジェクトベースの申請であることやロビー活動を目的としないことが条件です。申請は年に1回行われ、助成金の額は通常50万円から200万円で、特定の要件を満たす場合にはこの範囲を超えることもあります。

オンライン申請をする際には、事前の組織登録が必要です。募集は2024年1月9日から8月31日まで行われます。

参考:http://www.patagonia.jp/how-we-fund/

5. 2024年度(第22回)ドコモ市民活動団体助成事業

モバイル・コミュニケーション・ファンドは、日本国内で実施される市民活動団体の活動資金を公募によって助成する活動を行っています。この助成プログラムでは、主に子ども分野と環境分野の活動を対象としています。


子ども分野

子ども分野では、以下の2つの活動テーマが助成対象です。まず「子どもの健全な育成を支援する活動」では、不登校やひきこもりの子どもやその保護者に対する支援や、児童虐待やドメスティック・バイオレンスの防止、子どもの居場所づくりなどが含まれます。次に、「経済的困難を抱える子どもを支援する活動」では、放課後学習サポートや訪問学習支援、ヤングケアラーやシングルマザーへの支援、居場所の提供などが助成対象となります。

環境分野

環境分野では、さらに2つの活動テーマが用意されています。まず、「生物多様性の保全を推進する活動」では、森林の保全や里地・里山づくり、海辺・沿岸における活動、自然体験プログラムなどの環境学習や自然伝承の活動が支援されます。次に、「30by30目標達成に貢献する活動」では、自然共生サイト認定制度への申請・登録を目指す活動や、認定後の保全管理の質の向上を図るモニタリング調査、地域の魅力・価値の向上やネットワークづくりなどが対象です。

助成金額

助成額は4,500万円で、子ども分野と環境分野それぞれに助成金の上限額が設定されています。子ども分野では1団体あたり最大80万円から110万円まで、環境分野では80万円から150万円までの助成が可能です。

助成対象期間は、子どもの健全な育成を支援する活動や経済的困難を抱える子供を支援する活動、生物多様性の保全を推進する活動に関しては2023年9月1日から2024年8月31日までとなります。また、「30by30目標達成に貢献する活動」に関しては2025年8月31日までの期間です。

参考:https://www.mcfund.or.jp/

NPO法人の設立にかかる費用や期間の目安

NPО法人の設立にかかる費用や期間の目安についてを、自分で設立する場合と、行政書士に依頼する場合のそれぞれの項目に分けて解説していきます。

自分で設立する場合

NPО法人を自分で設立する場合は、ほぼ費用はかかりません。

印鑑の作成費用や交通費、通信費などにかかる程度と考えて、数万円以内で設立できます。

自分でNPО法人を設立する場合の手順は以下になります。

  1. 定款の作成
  2. 都道府県、市区町村(所轄庁)での認証手続き
  3. 縦覧から審査、認証完了
  4. 法務局でNPО法人の設立登記手続き
  5. 所轄庁へ「設立登記完了届出書」等を提出

上記3の「縦覧」を行うのに、点検する機会が1か月と法律で決まっており、縦覧終了後、2か月以内に所轄庁による審査が行なわれます。

なので、NPО法人を設立するには、書類作成から設立登記完了まで4か月程度はかかることになります。

行政書士に依頼する場合

行政書士にNPО法人設立の依頼をする場合の費用は、約20万円程度必要になります。

自分で設立する場合に比べるとかなりの金額差になってきますが、書類作成や提出に出向く手間などを考えると、時間がなくてプロに頼みたいと考えている人にとっては決して高くはない費用といえます。

NPО法人設立にかかる日数については、手順自体は同じであるため自分で設立する場合と大きな差はありません。

NPO法人の設立や助成金に関するよくある質問

最後に、NPО法人の設立や助成金に関するよくある質問をまとめたので見ていきましょう。

NPOのスタートアップに活用できる助成金は何がある?

NPОのスタートアップに活用できる助成金はたくさんありますが、その一部を下記にピックアップしてみましたので、ぜひご参考下さい。

助成制度名実施団体応援対象
大阪NPОセンター 能登半島地震応援金大阪NPОセンター・能登半島地震により被災した地域に対して取り組む事業活動であること・助成決定後、6ヵ月以内に事業活動に着手できること
大竹財団助成金一般財団法人 大竹財団・公益、社会問題の解決に取り組む事業をおこない、日本国内に事務所または連絡先をもつNPО、任意の市民団体、ボランティアグループを対象とします。
2024年度緑化を伴うヒートアイランド対策(環境対策)公益財団法人 高原環境財団・日本国内に所在する法人、地域活動団体

NPO法人における福祉活動が対象の助成金は何がある?

NPО法人における福祉活動が対象分野の助成金をいくつかピックアップしましたので御覧ください。

助成制度名実施団体対象分野
第3回「子どもまんぷく基金」日本フィランソロピック財団保健・医療・福祉、社会教育、子どもの健全育成、NPО支援
菅井グリーン基金~生活困難世帯に対するサポート活動への助成~公益推進協会保健・医療・福祉、子どもの健全育成、経済活動
令和6年度WAM助成(通常助成事業・モデル事業)福祉医療機構保健・医療・福祉、社会教育、地域安全

国が提供するNPO法人の補助金は何がある?

内閣府のホームページに、NPО施策情報が掲載されています。

参考:NPО施策ポータルサイト-内閣府-NPОホームページ

その中のいくつかを下記にピックアップしてみました。

所管施策名施策の概要施策の種類
香川県丸亀市丸亀市提案型協働事業市と公益的な目的で活動を行なう団体が協働で実施する事業で、団体側から事業企画を募集する形と、市からの課題テーマを提案する形の2種類ある。補助金等
広島市広島市ふるさと納税寄附金を活用したNPО支援公共的サービスの担い手となっているNPО法人の財政基盤を強化するとともに、市民などがともにNPО法人を育てる機運を高め、自主的、自発的な市民活動を促進するため「ふるさと納税を活用したNPО法人支援」を行なっています。補助金等/その他(資金)
熊本県ふるさとくまもと応援寄附金(NPО等支援分)地域の様々な課題解決に向けて公益的な活動を行うNPО等を支援するため「ふるさとくまもと応援寄附金(ふるさと納税)」を活用して、支援対象となるNPО等への寄附金受付を行なっています。補助金等/その他(資金)

NPO設立は一人でもできる?

NPОの設立は、1人でも可能です。法人化しないNPО団体であれば、法的な手続きは必要なく名乗るだけで設立できます。

NPО法人になるには、上記でお伝えしたように4か月程度手続きから完了までに時間がかかりますが、自分でもできますし行政書士に依頼することもできます。

まとめ

NPОとは何か、その種類やNPО法人を設立するともらえる助成金について解説してきました。

助成金を活用すれば、活動の幅も広げることができます。国も補助金などの施策を打っているので、さまざまなサイトを調べてその団体に合った助成金を探してみてください。

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