【2024年】新規事業の立ち上げで使える助成金・補助金一覧

【2024年】新規事業の立ち上げで使える助成金・補助金一覧

「新規事業の立ち上げに使える助成金について知りたい」「新規事業の立ち上げを検討しているため、助成金を使えるのであれば使いたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。

今回は、新規事業の立ち上げ時に活用できる助成金や補助金について、詳しく解説します。

新たなビジネスを計画しており、自社で利用できる助成金や補助金を探している方はぜひ参考にしてください。

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森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

新規事業の立ち上げで活用できる助成金や補助金とは?

新規事業を立ち上げる際は、国や自治体の提供する助成金・補助金を活用できる場合があります。まずは、助成金と補助金の違いや申請方法を確認しましょう。

助成金と補助金の違い

助成金と補助金は、それぞれ異なる目的と管轄を持つ支援制度です。助成金は雇用や労働環境の改善を目指し、厚生労働省が管轄しています。一方、補助金は新規事業や地域振興を促進し、経済産業省や中小企業庁が管轄しています。

給付額の面では、補助金の方が一般的に大きく、数十万円から数十億円に及ぶケースも少なくありません。

受給の流れも異なり、助成金は実施計画の策定や報告書の提出などが、補助金は審査や事業の実施後の報告書提出が求められます。また、助成金の受給は比較的容易ですが、補助金の場合は採択の難易度が高く、事業の必要性をアピールすることが求められるといった特徴があります。

助成金や補助金の申請方法

助成金と補助金の申請方法にはいくつかの違いがあります。まず、助成金の場合、受給要件に基づいた具体的なプロジェクト計画を策定し、その計画に基づいて申請手続きを行います。申請が承認されると、実際の活動を開始し、終了後に報告書を提出して助成金の受給を申請します。この後、審査が行われて支給決定がなされ、口座に助成金が振り込まれます。

一方、補助金の申請方法は異なります。まず、申請手続きを行い、その後審査を受けます。審査では、プロジェクトの独自性や社会的な貢献度などが評価されます。採択された場合、指定されたプロジェクトを実施し、事業が終了したら成果報告書や支払い証明書を提出します。これらの書類が審査を受け、最終的に口座に補助金が振り込まれる流れです。

新規事業の立ち上げで助成金や補助金を利用するメリット

新規事業の立ち上げで助成金や補助金を利用するメリットとして、以下の3点が挙げられます。

  • 返済不要のため事業を継続しやすい
  • 精度の高い事業計画書を作成できる
  • 国や自治体が注力している事業がわかる

それぞれの項目について解説します。

返済不要のため事業を継続しやすい

新規事業の立ち上げで助成金や補助金を利用する1つ目のメリットは、返済の必要がないことです。新規事業の立ち上げや成長段階では、収益の安定が難しく、返済負担が重くなることがあります。

しかし、助成金や補助金は返済不要のため、事業が一時的な赤字に陥っても資金の返済に苦しむことはありません。これにより、事業主はビジネスの成長に集中しやすくなります。

返済のプレッシャーがないため、事業を安定させ、持続可能なビジネスモデルを構築するための時間とリソースを確保しやすくなるでしょう。

精度の高い事業計画書を作成できる

新規事業の立ち上げで助成金や補助金を利用する2つ目のメリットは、精度の高い事業計画書を作成できることです。

助成金や補助金の申請では、ほとんどの場合、事業計画書や資金計画書などの提出が求められます。このため、申請を通じて新規事業の計画をしっかり立てられることが特長です。

また、申請の際に事業計画や資金計画に関するアドバイスを受けることもあります。第三者のチェックを受けることで新規事業計画の精度が向上し、事業が失敗しにくくなるでしょう。

助成金や補助金の申請を通じて、事業計画書の質を向上させ、より信頼性の高いビジネスモデルを構築することが可能です。

国や自治体が注力している事業がわかる

新規事業の立ち上げで助成金や補助金を利用する3つ目のメリットは、国や自治体が注力している事業がわかることです。

助成金や補助金は、国や地方自治体が様々な課題に対処するために制度を整備しています。これらの情報を通じて、国や自治体が現在注力している課題が浮かび上がります。

近年では、「地域での起業」「海外展開」「デジタルトランスフォーメーション」などが支援されるケースが多いようです。そのため、国や地方自治体は、これらの課題に重点を置いていることが理解できます。

新規事業の立ち上げに活用できる助成金・補助金

新規事業の立ち上げに活用できる代表的な助成金・補助金制度には、以下が挙げられます。

  • キャリアアップ助成金
  • トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
  • 雇用調整助成金
  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • JAPANブランド育成支援事業
  • 事業再構築補助金

それぞれの制度について、内容を確認しましょう。

キャリアアップ助成金(正社員化支援)

キャリアアップ助成金は、非正規社員や派遣労働者を正規社員に転換させたり、労働条件を改善した企業に支給される制度です。受給対象は、以下の条件に該当する事業主です。

業種条件
小売業(飲食店を含む)資本金5,000万円以下または労働者50人以下
サービス業資本金5,000万円以下または労働者100人以下
卸売業資本金1億円以下または労働者100人以下
その他の業種資本金3億円以下または労働者300人以下

なお、キャリアアップ助成金は大きく分けて「正社員化コース」と「障害者正社員化コース」の2つがあります。

正社員化コースの場合、支給条件や金額は以下の通りです。

条件金額
有期雇用から正規雇用(正社員)57万円
有期雇用から正規雇用(正社員)、なおかつ生産性向上要件を満たす場合72万円
無期雇用から正規雇用(正社員)28万5,000円
無期雇用から正規雇用(正社員)、なおかつ生産性向上要件を満たす場合36万円

もう一方の、障害者正社員化コースにおける支給条件や金額は以下の通りです。

対象者条件金額
重度身体障害者、重度知的障害者および精神障害者有期雇用から正規雇用(正社員)120万円
有期雇用から無期雇用(正社員)60万円
無期雇用から正規雇用(正社員)60万円
重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者有期雇用から正規雇用(正社員)90万円
有期雇用から無期雇用(正社員)45万円
無期雇用から正規雇用(正社員)45万円

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

トライアル雇用助成金は、雇用が難しいと見込まれる求職者を、ハローワークなどの職業紹介機関を通じて3か月間の試用雇用に採用する企業が受け取ることができる助成金です。

この制度を利用することで、企業は常用雇用の前に助成金を受け取りながら試用雇用を行えるため、職者の適性や能力を評価し、雇用のミスマッチを事前に防ぎやすくなります。

トライアル雇用助成金を受給するために必要な条件の一部を紹介します。

  • トライアル雇用の対象者を、紹介日前に雇用を約束していない事業主
  • トライアル雇用を行った企業の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の対象者を雇用した事業主
  • トライアル雇用を開始した日の前日から過去3年間に、同じトライアル雇用の対象者を雇用していない事業主

加えて、トライアル雇用を受ける求職者が満たすべき要件として、以下があります。

  • 紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望する
  • 紹介日時点で、学校卒業後3年以内で、卒業後、安定した職業に就いていない
  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
  • 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いて
  • いない期間が1年を超えている
  • 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、経済的な理由から事業活動を縮小せざるを得ない事業主を支援するための制度です。この助成金は、雇用を維持するために必要な休業、教育訓練、および出向に関連する一部の費用を補助します。

雇用調整助成金の対象となるのは、以下の全てを満たす事業主です。

  1. 雇用保険の適用事業主であること
  2. 売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること
  3. 雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと
  4. 実地する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。※
  5. 過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響にともなう特例による雇用調整助成金(コロナ特例)の支給を受けたことがある場合は、当該特例に係る対象期間内の最後の判定基礎期間末日(助成金が支給されたものに限る。)の翌日から起算して一年を超えていること

出典:雇用調整助成金|厚生労働省

  • 休業の場合:労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること
  • 教育訓練の場合:休業の場合と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであること
  • 出向の場合:対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること

助成額については、休業を実施した場合は「事業主が支払った休業手当負担額」に、教育訓練を実施した場合は「賃金負担額の相当額」に助成率をかけた金額で決定します。なお、教育訓練を実施した場合は1人1日あたり1,200円が加算される仕組みです。

助成内容と受給額助成率
休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)※対象労働者1人あたり8,490円が上限(令和5年8月1日現在)中小企業:2/3中小企業以外:1/2
教育訓練を実施したときの加算(額)1人1日当たり1,200円

ものづくり補助金

ものづくり補助金とは、革新的な商品やサービスを開発したり、生産プロセスの改善を行ったりする企業をサポートする補助金制度です。

ものづくり補助金は、以下に該当する小規模事業者と中小企業が対象となります。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

なお、補助額は100万円から4,000万円、補助率は1/2から2/3です。

申請枠補助額補助率
通常枠100万~1,250万円1/2(小規模事業者または再生事業者は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠100万~1,250万円2/3
デジタル枠100万~1,250万円2/3
グローバル市場開拓枠100万~3,000万円1/2(小規模事業者または再生事業者は3分の2)
グリーン枠100万~4,000万円2/3

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がビジネスの生産性向上や事業拡大のためにITツールを取り入れる際に利用できる補助金制度です。

この補助金を利用するには特定の条件があり、まず導入可能なツールはIT導入補助金事務局に登録されたものに限られます。また、補助金を申請する際には、「IT導入支援事業者」と連携する必要があります。

IT導入補助金の対象となる事業者は、以下に該当する小規模事業者と中小企業が含まれます。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

なお、補助額は5万円から450万円、補助率は1/2から3/4となります。

申請枠補助額補助率
通常枠(A類型)5万〜150万円未満1/2以内
回復型賃上げ・雇用拡大枠150万円~450万円以下1/2以内
デジタル枠5万円~100万円1/2以内
グローバル市場開拓枠~50万円以下3/4以内
グリーン枠50万円超~350万円2/3以内

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路の開拓や業務効率化に向けた取り組みを行う際に受けられる補助金制度です。幅広い経費を対象とし、機械装置の導入費用やサイト・チラシの制作費用、展示会の出店費用などに利用できます。

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、以下に該当する小規模事業者です。

業種条件
商業・サービス業5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)20人以下
製造業・その他20人以下

なお、補助額は50万〜200万円の間で決定し、補助率は全枠共通で2/3となります。

申請枠補助額補助率
通常枠50万円2/3
賃金引上げ枠200万円2/3
卒業枠200万円2/3
後継者支援枠200万円2/3
創業枠200万円2/3

JAPANブランド育成支援事業

JAPANブランド育成支援事業は、中小企業が海外展開やそれに伴う全国展開のために新商品やサービスを開発・改良する取り組みを支援する中小企業庁の取り組みです。

このプログラムでは、中小企業が海外市場に進出するために必要な費用の一部を補助することで、地域の中小企業が海外販路を拡大し、地域経済の活性化や中小企業の成長促進を目指しています。

JAPANブランド育成支援事業の対象となるのは、海外展望を検討している全国の中小企業が該当し、具体的には以下の要件となっています。

  • 海外での販路開拓を目指す事業計画を策定すること
  • 支援パートナーが提供する支援サービスを受けること

なお、補助額は500万円で、1社ごとに上限額を500万円嵩上げし、最大で2,000万円となります。また、補助率は補助対象経費の2/3ですが、採択3年目の事業もしくは国内販路開拓部分は1/2です。

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業が業態の転換や事業の再編成、異業種への進出、国内市場への再参入など、事業を再構築する際に利用できる補助金制度です。

事業再構築補助金の対象となる事業者は、以下に該当する中小企業や中堅企業が含まれます。

対象事業者業種条件
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人
中堅企業上に並ぶ中小企業以外資本金10万円未満

補助額は100万円から1.5億円と幅が広く、補助率は1/2から2/3となります。

申請枠補助額補助率
成長枠100万~7,000万円中小企業:1/2(大規模な賃上げを実施する場合は2/3)中堅企業:1/3(大規模な賃上げ実施する場合は1/2)
グリーン成長枠100万~1.5億円中小企業:1/2(大規模な賃上げを実施する場合は2/3)中堅企業:1/3(大規模な賃上げ実施する場合は1/2)
卒業促進枠成長枠・グリーン成長枠に準ずる中小企業:1/2中堅企業:1/3
大規模賃金引上促進枠100万~3,000万円中小企業:1/2中堅企業:1/3
産業構造転換枠100万~7,000万円中小企業:2/3中堅企業:1/2
物価高騰対策・回復再生応援枠100万~3,000万円中小企業:2/3中堅企業:1/2
最低賃金枠100万~1,500万円中小企業:3/4中堅企業:2/3

まとめ

今回は、新規事業の開拓時に利用できる助成金について、計8つの制度を紹介しました。助成金や補助金は、返済不要であることに加え、精度の高い事業計画書を作成できる、国や自治体が注力している事業がわかるといったメリットがあります。

制度によって受給できる金額や条件などが異なるため、各助成金・補助金制度の内容を十分に確認した上で、自社が利用できるプログラムを見つけましょう。

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