「岩手県で利用可能な補助金制度について詳しく知りたい」「事業のコスト削減を補助金で実現できないか」とお考えの事業者の方は多いのではないでしょうか。
今回は、岩手県で中小企業や個人事業主が活用できる補助金制度を10種類紹介します。具体的な内容や申請条件についても詳しく解説しますので、ぜひ記事を参考にして有効な制度を見つけてください。
事業者向け省エネルギー対策推進事業
岩手県の事業者向け省エネルギー対策推進事業では、県内における中小事業者が地球温暖化を防ぎ、脱炭素化を進めるために省エネルギー効果の高い設備の導入とその効果の情報発信を行う企業に対し、費用の一部が助成されます。
この制度の対象となるのは、以下のいずれかに該当し、県内に拠点を持つ方です。
- 中小企業者(中小企業基本法によって規定される事業者)
- 年間のエネルギー使用量が、原油換算値で1,500kl未満の工場、事業所等の所有者、もしくは管理者中小企業者以外
対象設備の例として、以下のような機器・設備があります。
- 高効率空調機器:従来の機器に対し30%以上の省CO2効果が得られるもの
- 高機能換気設備:全熱交換機であること等
- 高効率照明機器:調光制御機能のあるLEDまたは再エネ一体型屋外照明
- 高効率給湯機器:従来の機器に対し30%以上の省CO2効果が得られるもの
補助対象となるのは、導入した設備の購入や設置のための工事に係る経費です。
また、補助率・補助上限額については以下の表をご覧ください。
申請枠 | 補助上限額 | 補助率 |
一般 | 50万円 | 2分の1 |
いわて脱炭素化経営企業等認定あり | 80万円 | 2分の1 |
詳細:https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/gx/ontai/1067114.html
事業者向けEV等導入事業費補助金
岩手県では、県内の地球温暖化対策や脱炭素化を目指すための取り組みとしてEVや太陽光発電設備を導入した事業者に対し、発生した経費の一部が補助されます。
この制度の対象となるのは、以下のいずれかを満たす事業者です。
- 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)に規定し、岩手県内に事業所等を持ちながら事業活動を行っている
- 岩手県内における事業所の年間エネルギー使用量が原油換算で1,500kl未満であり、事業活動を行っている
また、太陽光発電設備・車載型蓄電池・充放電設備等を全て設置することを前提とし、以下4つをすべて満たす設備が補助対象となります。
- 太陽光発電設備
- 蓄電池
- EV、PHV
- 充放電設備
補助上限額については、以下の表をご覧ください。
いわて脱炭素化経営企業等認定 | 省エネルギー診断又は二酸化炭素排出量の算定 | |
なし | あり | |
あり | 太陽光発電:500千円蓄電池:750千円EV:850千円PHV:550千円充放電設備:750千円 | 太陽光発電:600千円蓄電池:950千円EV:850千円PHV:550千円充放電設備:950千円 |
なし | 太陽光発電:600千円蓄電池:950千円EV:850千円PHV:550千円充放電設備:950千円 | 太陽光発電:750千円蓄電池:1,250千円EV:850千円PHV:550千円充放電設備:1,250千円 |
※補助額の単位(千円)は令和6年度事業者向けEV等導入事業費補助金をもとに表を作成
なお、補助率については以下の通りです。
- 太陽光発電設備:50千円/kW
- 最大63千円/kWh
- EV・PHV:20千円/kWh
- 充放電設備:1/2
詳細:https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/gx/ontai/1067112.html
運輸事業者運行支援緊急対策給付|一戸町
岩手県一戸町では、町内における貨物自動車運送事業者が長期間にわたって事業を行い、貨物輸送の燃料を確保するために、燃料購入にかかった経費の一部に対し補助を受けられます。
この制度の対象となるのは、以下のすべての要件を満たす事業者です。
- 申請日の時点で貨物自動車運送事業に必要な許可や届出を有し、町内で事業を継続していること
- 町内に事業所を持つ中小企業者であること
- 町税を滞納していないこと
- 一戸町暴力団排除条例(平成27年条例第19号)第2条第4号に規定される暴力団員等ではないこと
補助金の受給対象となる車両は、以下を満たしている必要があります。
- 申請日の時点で、営業用として保有する被けん引車を除くトラック等である(貨物軽自動車を含む)
- 自動車登録番号標もしくは車両番号標に記載のある地名が「岩手」である
- 一戸町内に自動車車検証記載の保管場所がある
- 県外の自治体から同様の支援対象になっていない
上記の要件を満たした場合、車両1台につき23,000円の支給を受けられます。
詳細:https://www.town.ichinohe.iwate.jp/soshikikarasagasu/shokokankoka/chushokigyonadoshien/5435.html
花巻市滞在型観光プログラム造成促進事業補助金|花巻市
岩手県花巻市の花巻市滞在型観光プログラム造成促進事業補助金は、市内へ訪れる旅行者の滞在型観光を増やすために、施設の宿泊者へ体験プログラムを提供している宿泊事業者が利用できます。該当する宿泊事業者は、事業費の一部に対し補助を受けられます。
この制度の対象となる事業は、以下のすべてを満たすプログラムです。
- 補助期間の中で、補助対象者が1人あたり1泊以上の宿泊を受け入れる
- 施設内もしくは周辺の自然環境(徒歩圏内)において、地域資源を活用した体験を宿泊者に提供する(鑑賞のみは対象外)
体験プログラムを行うための事業費に対して補助を受けられます。具体的には、以下の項目が補助対象となります。
- 報奨費:講師への謝礼など
- 旅費:講師の最も経済的な交通費及び宿泊費
- 備品購入費:プログラムを提供するために必要な備品
- 広告宣伝費:看板・チラシ・広告などの宣伝に要する経費
- その他:市長が必要と認める経費
補助額については10万円を上限とし、事業にかかった費用の2分の1以内が補助されます。なお、広報宣伝費についてのみ、補助上限が4万円、補助率は経費の5分の1以内です。
詳細:https://www.city.hanamaki.iwate.jp/kanko/oshirase/1021105.html
宮古市エネルギー価格高騰緊急支援給付金|宮古市
岩手県宮古市では、燃油価格が高騰して事業を続けていくことが困難になっている事業者に対し、エネルギーの上昇価格のうち、一部に対して給付される「宮古市エネルギー価格高騰緊急支援給付金」の制度を利用できます。
この制度の対象となるのは、以下の全てに該当する事業者です。
- 市内に事業所を持ち、事業を営む法人や個人で、電気・ガス・熱供給、公務を除く全ての業種(個人の場合は農業・林業、漁業、不動産業も除く)
- 直近の事業年度の売上高が法人は200万円以上、個人は100万円以上であること
- 次のいずれかに当てはまる者であること
- 直近の事業年度の営業利益率または売上総利益率が、前事業年度よりも減少している
- 直近の事業年度の売上高が、前事業年度の売上高よりも20%以上減少している
- 令和5年4月~令和6年3月までの間において、連続する6か月分の対象経費が前年同期もしくは前々年同期よりも増加していること
- 市税を完納していること
上記を満たす事業者に対し、電気、ガス、ガソリン、重油、軽油、灯油経費の一部が補助されます。
給付額については、1事業者につき100万円を上限とし、連続した6か月分(令和5年4月から令和6年3月までの間)の対象経費から前年同期もしくは前々年同期の対象経費を差し引いた額の1/2となります。
詳細:https://www.city.miyako.iwate.jp/sangyo/energy_koutou_shien.html
宮古市事業者等省エネルギー対策推進事業費補助金|宮古市
岩手県宮古市の提供する「宮古市事業者等省エネルギー対策推進事業費補助金」では、市内事業者や商店街が省エネルギー化に取り組む上で、かかった経費の一部に対して補助を受けられます。
この制度は、宮古市内に事業所を持ち、事業を行っている法人や個人、商店街復興組合などの全業種が利用可能です。(公務を除く)
なお、個人の場合は農林漁業・不動産業は対象外となります。
対象経費として認められるのは、事業所や店舗、工場などの照明器具のほか、商店街の街路灯としてLED照明を導入する場合に係る経費です。
補助率については対象経費の1/2、補助上限額は30万円までとなっています。(1事業者あたり1回限り受給可能)
詳細:https://www.city.miyako.iwate.jp/sangyo/led_reform2024_2.html
花巻市体験型観光推進事業補助金|花巻市
岩手県花巻市では、市内への観光客増加や滞在時間延長に取り組むために、事業者が新たな体験型事業の開発や改善を行う際に「花巻市体験型観光推進事業補助金」を利用できます。
この制度の対象となるのは、以下に該当する事業です。
- 体験型事業の新規開発:市内で体験型事業を新しく始める事業者が、旅行客・宿泊客・市民が体験したくなるようなプログラムを新規開発する
- 体験型事業の改良:市内にある既存の体験型事業を提供する事業者が、旅行客・宿泊客・市民が体験したくなるようなプログラムへと改良する
- 海外個人旅行対応モニター:外国人モニター等を活用し、海外からの個人旅行客に利用してもらうための体験型事業の調査や評価、海外への観光情報を発信する
上記の事業を行うためにかかった経費が補助対象となり、物品費・機械装置費・材料費・外注費・委託費が該当します。
また、補助額については20万円を上限とし、事業費の3分の2以内で決定します。
詳細:https://www.city.hanamaki.iwate.jp/kanko/oshirase/1021104.html
北上市ものづくり企業カーボンニュートラル補助金|北上市
岩手県北上市では、ものづくりに取り組む企業が省エネ対策を推進し、脱炭素経営を目指す上での支援制度「北上市ものづくり企業カーボンニュートラル補助金」を利用可能です。
この制度の対象となるのは、以下のすべての要件を満たす事業者です。
- 市内に事業者を持つものづくり中小企業者である
- 納期を過ぎている市税が未納でないこと
- 代表者及び役員が北上市暴力団排除条例(平成27年北上市条例第28号)第2条第2号に規定する暴力団員ではなく、なおかつ暴力団との関係がないこと
ものづくり中小企業者とは、以下のいずれかを満たす事業者を指します。
業種 | 要件 |
製造業(日本標準産業分類の大分類E | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
ソフトウェア業(日本標準産業分類の小分類391) | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
情報処理サービス業(日本標準産業分類の細分類3921) | |
機械設計業(日本標準産業分類の小分類743) | |
プラントエンジニアリング業(日本標準産業分類の細分類7499に分類される事業のうちプラントエンジニアリング業) |
引用:令和6年度北上市ものづくり企業カーボンニュートラル補助金
補助対象となる事業とそれぞれの補助上限額・補助率については、以下の表をご覧ください。
補助対象事業 | 補助上限額 | 補助率 |
脱炭素経営を目指し、以下に該当する事業 ・現状分析や課題把握のための診断を行う費用・脱炭素化促進のための計画等を策定する費用 | 50万円 | 2分の1 |
一般財団法人省エネルギーセンター、もしくは省エネお助け隊による省エネ診断の受信費用 | 2万円 | 全額 |
役員もしくは従業員を対象とする、脱炭素経営における研修費用 | 10万円 | 2分の1 |
詳細:https://www.city.kitakami.iwate.jp/life/soshikikarasagasu/sangyokoyoshienka/kogyokakari/3/26485.html
再生可能エネルギー発電施設等立地促進資金貸付金
岩手県では、令和5年に改訂された「第2次岩手県地球温暖化対策実行計画」にある目標を達成するために、該当する施設や設備を導入する際に融資を受けられる「再生可能エネルギー発電施設等立地促進資金貸付金」を提供しています。
この制度は2種類の貸付方法があり、それぞれ以下の通りです。
種類 | 対象事業者 | 貸付限度額 |
再生可能エネルギー設備導入事業資金 | 県内に事業所を持ち、県内に再生可能エネルギー設備を導入する中小企業者 | 4億8,000万円 |
省エネルギー設備導入事業資金 | 岩手県から「いわて地球環境にやさしい事業所」として認定を受け、県内に省エネルギー設備を導入する事業者 | 5,000万円 |
再生可能エネルギー設備導入事業資金の対象となる設備は、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス等の発電設備、太陽熱、地中熱、チップボイラー等の熱利用設備があります。
また、省エネルギー設備導入事業資金については、中小企業信用保険法施行規則(昭和37年3月27日通商産業省令第14号)別表第二の一に掲げる施設を導入する際の経費が対象です。計120施設のうち、例として以下のような施設があります。
- 熱交換器
- 廃熱利用加熱装置
- 自動燃焼制御装置
- 自動温度調整装置
- 電力負荷調整装置
- 潜熱型蓄熱槽
- 自然採光式天窓
- 可変風量空気調和設備
- ヒートポンプ方式熱源装置
各貸付制度の条件については、以下の通りです。
再生可能エネルギー設備導入事業資金 | 省エネルギー設備導入事業資金 | ||
資金使途 | 設備資金運転資金 | 設備資金 | 設備資金 |
融資限度額 | 2億8千万円 | 2億円 | 5千万円 |
貸付期間 | 15年以内(2年)10年以内(1年) | 15年以内(2年) | 15年以内(2年) |
貸付利息 | 3年以内:年1.7%以内3年超10年以内:年1.9%以内10年超15年以内:年2.1%以内 | 3年以内:年1.7%以内3年超10年以内:年1.9%以内10年超15年以内:年2.1%以内 | 3年以内:年1.7%以内 3年超10年以内:年1.9%以内 10年超15年以内:年2.1%以内 |
保証料率 | 0.45%~1.7%(普通保証) | 1.05%(エネルギー対策保証) | 0.45%~1.7% |
参照:
詳細:https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/gx/saiene/1067338.html
長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存の住宅や住宅ストックを適切に管理・修繕し、長持ちさせるための取り組みに対し支援を行う事業です。
この制度の対象となるのは、以下に該当する住宅です。
- のべ面積の過半が、リフォーム前後ともにおいて住宅である
- 少なくとも階段部分を除いた1の階の床面積が40m²以上で、なおかつのべ面積が55m²以上である
補助対象となるリフォーム工事には、以下の区分があります。
- 住宅の性能向上:既存住宅の性能を「評価基準」もしくは「長期優良住宅(増改築)認定基準」まで向上させる工事
- 三世代同居対応改修:キッチン・浴室・トイレ・玄関の増設に係る工事
- 子育て世帯向け改修:子育てしやすい環境整備のための改修工事
- 防災性・レジリエンス性の向上改修:自然災害に対応するための改修工事
また、上記に加えてリフォームした後の住宅が「住宅性能に係る評価基準」を満たし、構造躯体等の劣化対策・耐震性の確保・省エネルギー対策が全て行われていることが必須条件です。
そのほか、任意の項目として、維持管理や更新の容易性確保・高齢者等の対策(共同住宅のみ)・可変性の確保(共同住宅のみ)などもあります。なお、認定長期優良住宅型を選択した場合はこれらも必須項目となるため注意してください。
詳細:https://www.pref.iwate.jp/kurashikankyou/kenchiku/kojin/hojo/1010288.html
まとめ
今回は、岩手県で利用できる補助金について、計10種類の制度を紹介しました。それぞれの制度によって内容が異なるため、事業を営む地域で利用可能な制度を確認し、適切な制度を活用していくことが大切です。
本記事で紹介した制度を参考にしながら、経営活動を行う上での経費負担を削減し、自社の成長に貢献する補助金制度を活用してはいかがでしょうか。