【2024年】IT系で利用できる助成金とは?IT導入補助金の概要や条件をわかりやすく解説

【2024年】IT系で利用できる助成金とは?IT導入補助金の概要や条件をわかりやすく解説

「ITに関わる助成金制度について知りたい」「デジタルサービスの導入で使える補助制度はないのかな」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

本記事では、IT導入補助金の制度について、概要や利用するメリット・デメリット、導入可能なソフトなどを解説します。

IT導入補助金の制度内容が気になっている方、詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

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森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

2024年度も経済産業省によるIT導入補助金が継続

2017年から開始されたIT導入補助金ですが、2024年も継続されるとの発表がありました。

まずは、IT導入補助金の概要や昨年までの制度内容との変更点について確認しましょう。

IT導入助成金の概要

IT導入助成金は、中小企業や小規模事業者が効率的に業務を遂行し、競争力を高めるために導入するITツールやサービスに対する補助金です。具体的には、業務効率化やデジタルトランスフォーメーション、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応などに使われます。補助対象にはパソコン、タブレットなどのハードウェア、会計・決済ソフト、インボイス対応ソフトなどが含まれます。最大400万円の補助金があり、小規模事業者には最大4/5の補助率が適用されます。申請は通常枠とインボイス枠に分かれており、募集期間は年に数回開かれます。IT導入助成金は、企業の生産性向上や業務効率化を促進し、競争力強化に寄与します。

2023年度からのIT導入助成金の変更点

2023年度からのIT導入助成金の変更点は、いくつかあります。ここでは、主な変更点として以下を紹介します。

  • デジタル化基盤導入枠が廃止され、代わりにインボイス枠が新設された
  • ECサイトの制作がIT導入補助金の対象外になった
  • 通常枠のA類型・B類型の名称が廃止された
  • 小規模事業者だけでなく、インボイス枠の「電子取引類型」では大企業もIT導入補助金の利用が可能になった

そのほか、詳しい項目についてはIT導入補助金の公式サイトより確認できます。

2024年のIT導入補助金は4枠に分類される

2024年に提供されるIT導入補助金は、主に以下の4枠に分類されます。

  • 通常枠
  • 複数社連携IT導入枠
  • インボイス枠
  • セキュリティ対策推進枠

それぞれの枠について、概要や補助金額・補助率について確認しましょう。

通常枠

IT導入補助金の通常枠では、生産性を向上させるためのITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用をサポートします。クラウドの利用料については、最大2年分の補助を行い、導入に関連する保守運用などの費用も支援されます。

通常枠の補助金額や補助率などは、以下の通りです。

機能要件補助金額補助率賃上げ目標
1プロセス以上5万〜150万円未満1/2以内加点
4プロセス以上150万〜450万円以下1/2以内必須

なお、補助の対象となるのは、ソフトウェア費やクラウド利用料(最大2年分)、導入関連費などです。

複数社連携IT導入枠

複数社連携IT導入枠は、複数の中小企業や小規模事業者が協力してITツールやハードウェアを導入する取り組みを指します。この枠組みでは、10者以上の企業や事業者が連携して、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済の導入などのプロジェクトを推進します。

また、連携に必要な事務費や専門家費も補助対象となります。地域経済の活性化や生産性向上を促進し、より持続可能なビジネス環境の構築を支援していることが特徴です。

複数社連携IT導入枠の補助対象経費・補助率・補助額については、それぞれ以下の通りです。

補助対象経費補助率補助額
ソフトウェア3/4以内(小規模事業者は4/5以内)50万円以下×グループ構成員数(3,000万円以下)
2/3以内50万円超〜350万円以下×グループ構成員数(3,000万円以下)
PC・タブレット等1/2以内10万円×グループ構成員数(3,000万円以下)
レジ・券売機等1/2以内20万円×グループ構成員数(3,000万円以下)
消費動向等分析経費2/3以内50万円以下×グループ構成員数(3,000万円以下)
その他経費2/3以内200万円以下

インボイス枠

インボイス枠では、インボイス制度に対応する会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトについて、労働生産性の向上をサポートします。

インボイス枠における補助率や補助額は、以下の通りです。

補助対象経費補助率補助額
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト3/4以内(小規模事業者は4/5以内)50万円以下※1機能以上を有していることが条件
2/3以内50万超〜350万円以下※2機能以上を有していることが条件
PC・タブレット等1/2以内10万円以下
レジ・券売機等1/2以内20万円以下

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃などへのセキュリティ対策を強化するITツールを対象に、費用面での支援を行うものです。

セキュリティ対策推進枠の補助率や補助額については、以下の通りです。

  • 補助率:1/2以内
  • 補助額:5万以上100万円以下

なお、機能要件は、独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されるいずれかのサービスとなります。

IT導入補助金を利用するメリット

IT導入補助金を利用する主なメリットとして、以下の4点が挙げられます。

  • 返済義務がない
  • 業務効率化を図れる
  • 従業員の熱量が高まる
  • 補助対象のツールが豊富である

それぞれの項目について確認しましょう。

返済義務がない

IT導入補助金の利用には、返済義務がないという大きなメリットがあります。通常の融資とは異なり、規程に違反しない限り、受け取った資金を返済する必要はありません。

この特典は特に中小企業や小規模事業者にとって重要であり、負担を最小限に抑えながらITの導入や改善を行うことが可能です。返済の心配がないため、事業計画におけるリスクが低減され、IT導入による効果を最大限に享受できます。

このメリットを活用することで、企業はよりスムーズかつ効率的に技術革新や業務改善を進められるでしょう。

業務効率化を図れる

IT導入補助金を利用することで、中小企業や小規模事業者は業務効率化を図ることが可能です。これまでIT化やDX化を妨げていた導入費用の壁を克服し、コストを抑えながらITツールを導入できます。

紙やExcel中心の業務からデジタル化への移行は、業務の効率化や生産性向上につながります。例えば、顧客管理や在庫管理などの業務をITシステムで管理することで、情報の一元管理や自動化が実現され、業務の効率向上が期待できるでしょう。

さらに、クラウドサービスの導入により、業務の柔軟性や可用性も向上し、従業員の働き方改革やリモートワークの推進も可能になります。IT導入補助金の活用は、企業の競争力強化や持続可能な成長に貢献します。

従業員の熱量が高まる

IT導入補助金を利用するメリットの一つは、従業員の熱量が高まることです。非効率な業務や前時代的な作業を日々こなす従業員は、やりがいを感じずモチベーションが低下し、将来性を感じずに転職を考えることもあります。

しかし、ITツールの導入によって業務が効率化されると、従業員は業務に対するやりがいを感じるようになってくれるかもしれません。自動化された作業やクラウドサービスの利用によって業務がスムーズに進行し、時間や労力を節約できるため、従業員は業務への意欲が高くなるでしょう。

また、業務効率化によって従業員の負担が軽減されるとワークライフバランスが向上し、ストレスの軽減にもつながります。従業員の熱量が高まることで、生産性や企業の競争力が向上し、結果的に企業の成長につながるでしょう。

補助対象のツールが豊富である

IT導入補助金の利用には、補助対象となるITツールの幅広さも大きなメリットです。会計ソフトや経費精算システムから、SFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)、メタバースなど、さまざまな種類のITツールが対象となります。

さらに、各業種に特化したITツールも補助対象となるため、自社の業務ニーズに最適なツールを導入しやすくなります。この豊富なツールの選択肢は、企業が業務効率化や生産性向上に向けて、最適なソリューションを選択することを可能にします。

従業員のニーズや業務の特性に合わせて最適なITツールを導入することで、業務の効率化や競争力の向上につながるでしょう。

IT導入補助金を利用するデメリット

反対に、IT導入補助金を利用するデメリットとして、以下のような要素も挙げられます。

  • 手続きに時間がかかる
  • 必ずしも受給できるとは限らない
  • 後払いのため自己資金が必要である
  • 交付が決まるまでツールを導入できない

それぞれについて解説します。

手続きに時間がかかる

IT導入補助金の利用には、手続きに時間がかかることがデメリットです。申請に必要な書類の準備や手続きは複雑であり、十分な時間と労力を要します。さらに、補助金の採択は申請内容や提出書類の適合性に大きく依存するため、準備段階から慎重に作業を進める必要があります。

採択率を上げるためには、書類作成や手続きに手を抜かず、細部に至るまで注意を払うことが求められます。このため、申請には多くの時間と労力を費やす必要があり、業務や他のプロジェクトとの両立が難しくなる場合もあるかもしれません。

解決策としては、事前に計画を立ててスケジュールを確保し、適切なサポートを受けることが重要です。

必ずしも受給できるとは限らない

IT導入補助金を利用する際のデメリットの一つは、必ずしも受給できるとは限らないという点です。補助金の申請には審査があり、採択率は例年40%~60%程度となっています。

そのため、申請しても補助金が受け取れない可能性が相当高いことを理解しておく必要があります。補助金の受給が期待できない場合や他の資金調達方法も検討することが重要です。

採択率が低いことを理解し、事前にリスクを考慮した上で申請を進めましょう。

後払いのため自己資金が必要である

IT導入補助金を利用する際のデメリットの一つは、後払いのため自己資金が必要であることです。申請者がITツールを購入した後、審査などの期間を経て補助金が支給されるため、購入費用の全額を自己資金で支払う必要があります。

リース契約などは対象外であり、キャッシュフローが厳しい企業ではこの点が課題となる可能性もあるでしょう。

また、補助金の採択が確定してからITツールを購入する必要があるため、事前に自己資金を用意する必要があります。採択されなかった場合、資金の浪費が生じる可能性も考えられるため、資金繰りを慎重に考えることが欠かせません。

交付が決まるまでツールを導入できない

IT導入補助金を利用する際のデメリットの一つは、交付が決まるまでツールを導入できないという点です。補助金の採択の可否が通知されるまで、ITツールの購入・導入ができません。

つまり、採択されるまでの期間はITツールの導入を待つ必要があります。この待ち時間は、業務効率化や生産性向上のためにITツールを導入したいと考える企業にとって、非常に長く感じられるかもしれません。

特に、急いで業務を効率化したい場合は、補助金の手続きを待たずに直接ITツールを導入する方が望ましいでしょう。補助金の手続きによって遅延が生じることで、業務の効率化や競争力の向上に支障が生じる可能性もあります。

IT導入補助金を使って導入できる対象ソフト一覧

IT導入補助金を使って導入できるソフトには、さまざまな種類があります。具体的なソフトについて、以下の表にまとめましたのでご覧ください。

ジャンル導入可能なソフト
営業・顧客管理CRM(顧客管理システム)・SFA(営業支援システム)・MA(マーケティングオートメーション)・カスタマーサポートツール・メタバースなど
生産管理生産管理システム・購買管理システム・品質管理システム・在庫管理システム・製品情報管理システム・物流管理システムなど
人事・労務管理給与計算システム・人事管理システム・健康経営支援システム・勤怠管理システム・採用管理システムなど
会計・経理関係会計ソフト・経費精算システム・電子帳簿保存システム・請求書発行システムなど
業務効率化RPA(業務自動化)

IT導入補助金を受給できる条件とは?

では、実際にIT導入補助金を受給できる対象となるのは、どのような事業者なのでしょうか。

ここでは、受給対象となるケース、ならないケースについてそれぞれ見ていきましょう。

IT導入補助金の受給対象者

IT導入補助金の受給対象となるのは、以下の業種・資本金額・従業員数に該当する中小企業です。

業種資本金従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5千万円100人
小売業5千万円50人
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業・情報サービス業3億円300人
旅館業5千万円200人
その他業種(上記以外)3億円300人

IT導入補助金の受給対象外となるケース

反対に、以下に該当する事業者は受給の対象外となるため、注意しましょう。

  • 大企業のグループ企業や、課税所得額が大きい企業
  • IT導入支援事業者
  • 経済産業省又は中小機構から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者
  • 風俗営業事業者
  • 反社会的勢力
  • 過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
  • 宗教法人
  • 法人格のない団体(同窓会・PTA・サークル等)
  • その他、IT導入補助金の目的・趣旨から適切でないと経済産業省及び中小機構並びにIT導入補助金事務局が判断する者

いちばん上の「大企業のグループ企業や、課税所得額が大きい企業」について、具体的な条件は以下の通りです。

  1. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
  2. 発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
  3. 大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業・小規模事業者等
  4. 発行済株式の総数又は出資価格の総額を1.~3. に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している中小企業・小規模事業者等
  5. 1.~3.に該当する中小企業・小規模事業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業・小規模事業者等
  6. 確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等

出典:https://www.it-hojo.jp/applicant/subsidized-works.html

まとめ

今回は、IT導入補助金の制度概要について解説しました。IT導入補助金を活用することで、ITに関するインフラサービスの導入で援助を受けられるため、ITサービスを取り扱う会社や個人などに特におすすめできるサービスです。

また、IT導入補助金に限らず、補助金や助成金を受ける際のメリット・デメリットも解説しました。自社の状況をしっかりと理解した上で、補助金の申請に取り組むことが欠かせません。

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