「福島県で活用できる補助金制度には何があるの?」「補助金を使って事業の経費を減らすことはできないかな?」といった疑問を持つ事業者の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、福島県で中小企業や個人事業主が利用できる補助金制度を10種類紹介します。各補助金の詳細や利用条件についても解説していますので、この記事を参考にして適切な補助金を見つけてください。
危険木伐採支援補助金|葛尾村
福島県葛尾村では、立ち枯れや他の損害を引き起こすおそれのある木を伐採する山林所有者や関係者に対して「危険木伐採支援補助金」を交付しています。
この補助金の交付対象となるのは、「危険木」の所有者または管理者が林業分野などの専門業者に依頼して行う伐採作業です。なお、ここで言う「危険木」とは、胸高直径が20センチメートル以上、かつ高さが5メートル以上の木のことを指し、これらが倒れた場合に他人の住宅や公共施設、または道路の通行に損害をもたらす可能性がある木を指します。
補助金額は25万円を上限とし、伐採等費用の1/2の額が交付されます。なお、村税などが未納の状態になっている場合は補助対象外となるため注意してください。
詳細:https://www.katsurao.org/soshiki/3/kikenbokubassaihojo.html
只見町住宅用太陽光発電システム補助金|只見町
福島県只見町では、住宅用の太陽光発電システムを設置する方に対して「只見町住宅用太陽光発電システム補助金」を交付しています。
この制度の対象となるのは、以下に該当する方です。
- 今年度中に只見町内の自宅に太陽光発電設備を設置できる方(店舗や事務所と兼用可)
- 電力会社との電力契約を済ませているか、または契約予定の方
- 只見町の税金などを滞納していない方
- 過去に只見町の太陽光発電システムの補助金を受け取ったことがない方(同居者も含む)
- 設置する住宅が所有者でない場合は、所有者からの設置承認を書面で得ていること
補助金額については、導入するシステムによってそれぞれ以下のように定められています。
- 太陽光発電システム:5万円に最大出力(単位:kW)を乗じた額 ※最大20万円
- 蓄電池システム:2万円に蓄電池容量(単位:kWh)を乗じた額 ※最大12万円
詳細:https://www.town.tadami.lg.jp/information/2024/05/004921.html
販路開拓等支援事業|南相馬市
福島県南相馬市では、市内で生産される農林水産物について、販路拡大やそれらを原材料とした6次産業化商品の販路拡大に取り組む事業者に対し「販路開拓等支援事業」による補助金を交付しています。
この制度の対象となるのは、販路開拓に取り組み、市内に住所を有する1次産業者、2次産業者、3次産業者、または1次産業者が組織する団体です。
対象経費には、以下のような項目があります。
- 展示ブースの料金や会場利用料などの展示に関する費用
- ショーケースや照明器具などのレンタル費用
- 郵送料や物品の運搬費などの通信費
- 宿泊費や移動費用
- パンフレットなどの印刷費用
- 一時的なスタッフの給与費用などの人件費
- コンサルタント企業に委託する費用
- ECサイトなどの構築にかかる費用
- その他、当該事業に必要と認められる費用
補助金額は10万円を上限とし、補助率1/2以内で決定します。
詳細:https://www.city.minamisoma.lg.jp/portal/sections/18/1810/18101/1_1/999/25609.html
人材育成事業補助金|会津若松市
福島県会津若松市では、商店街や中小・小規模企業が主催する研修イベントや、他の組織が主催する研修プログラムに参加する場合において「人材育成事業補助金」を交付しています。
この制度の補助対象となるのは、以下3つの事業です。
- 商店街などが研修イベントを主催し、他の組織が主催する研修事業に参加する場合
- 中小・小規模企業が研修イベントを主催し、他の組織が主催する研修事業等に参加する場合
- 商店街などが先進地への視察研修事業を主催する場合
それぞれ補助内容が異なるため、確認しましょう。
詳細:https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2024032700033/
商店街などが研修イベントを主催する場合
商店街などが研修イベントを主催する場合、人材育成事業補助金の交付対象となるのは以下の団体です。
- 事業協同組合
- 協同組合連合会
- 企業組合
- 協業組合
- 酒造組合
- 酒販組合
- 生活衛生同業組合
- 商店街振興組合
- 任意商店会
- まちづくり会社
上記に該当する団体は、以下の対象経費が発生した場合につき、一定の割合で補助金が交付されます。
- 参加に要する旅費
- 参加負担金
- 資料代
- 会場借上料
- 旅費を含む講師謝礼金
対象経費について補助率を2分の1以内とし、外部講師を招いて研修事業を主催する場合は20万円、他団体の研修事業に参加する場合は10万円の限度額内で交付額が決定します。
中小・小規模企業が研修イベントを主催する場合
中小・小規模企業が研修イベントを主催する場合、以下の事業に対して人材育成事業補助金が交付されます。
- 外部講師を招き主催する研修事業
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構、中小企業大学校、県などが主催する研修事業に参加する事業
補助対象経費については上述した「商店街などが研修イベントを主催する場合」と同様であり、補助限度額10万円以内の中で対象経費の2分の1以内が交付額となります。
商店街などが先進地へ視察研修事業を主催する場合
商店街などが先進地へ視察研修事業を主催する場合、人材育成事業補助金による補助対象となるのは以下の団体です。
- 事業協同組合
- 協同組合連合会
- 企業組合
- 協業組合
- 酒造組合
- 酒販組合
- 生活衛生同業組合
- 商店街振興組合
- 任意商店会
- まちづくり会社
また、補助対象経費については以下の通りです。
- 交通費
- 視察料
- 資料代
- 旅費を含む講師謝礼金
補助金額は20万円を限度額とし、2分の1以内の額で決定します。
イベント事業補助金|会津若松市
福島県会津若松市では、商店街等や中小企業者等が要件を満たすイベントを開催する際に「イベント事業補助金」を交付しています。
この制度の補助対象となるのは、以下に該当する事業です。
- 展示会や見本市などのイベント
- 地域に根付き、住民に愛されるなど、継続的な支援が必要なイベント
- 売上向上を目指し、幅広い一般市民の参加を呼びかけるイベント
- 地元の産品を活用して行う中小・小規模企業者向けの販売促進イベント
上記の事業について、以下の項目が補助対象経費として認められます。
- 会場借上料を含む会場設営費
- 宣伝広告費
- 旅費を含む謝礼金
- 警備委託費
- 企画・運営に係る委託費
補助金額・補助率は事業内容によって異なり、それぞれ以下の通りです。
事業 | 補助率 | 補助限度額 |
展示会や見本市などのイベント | 2分の1以内 | 100万円 |
地域に根付き、住民に愛されるなど、継続的な支援が必要なイベント | 2分の1以内 | 30万円 |
売上向上を目指し、幅広い一般市民の参加を呼びかけるイベント | 3分の1以内 | 30万円 |
地元の産品を活用して行う中小・小規模企業者向けの販売促進イベント | 3分の1以内 | 30万円 |
詳細:https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2024032700026/
安全安心施設設置等事業補助金|会津若松市
福島県会津若松市では、市内に訪れる方の安全を支えるために公共性の高い施設を設置、もしくは維持管理する場合に「安全安心施設設置等事業補助金」を交付しています。
この制度の対象となるのは、以下に該当する方です。
- 商店街振興組合
- 事業協同組合
- 任意商店会
- まちづくり会社
補助内容は「施設を設置する場合」と「施設を維持管理する場合」によって異なります。以下より、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
詳細:https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/docs/2024032700019/
施設を設置する場合
会津若松市において安全安心を支えるための施設を設置する場合、以下のような事業が補助対象となります。
- 街路灯(1基以上)
- 駐車場(普通乗用車10台以上収容可能なもの)
- ポケットパーク及びストリートファニチャーを含むイベント広場
- 駐輪場
- 放送設備
- 防犯カメラ
- 上記のほか、商店街等の利便、活性化に寄与するものと市長が認めるもの
上記の事業で発生する経費について、中心市街地活性化基本計画に基いて実施する事業は3分の2以内、それ以外の事業は3分の1以内を補助率とし、以下の補助限度額内で補助金が交付されます。
- 街路灯1基あたり全部を建替える場合:30万円(一部付替えの場合は20万円)
- 駐車場:1,000万円
- ポケットパーク及びストリートファニチャーを含むイベント広場:500万円
- 駐輪場:200万円
- 放送設備:100万円
- 防犯カメラ:50万円
- 上記以外のもの:市長が認める額
施設を維持管理する場合
会津若松市において安全安心を支えるための施設を維持管理する場合、補助対象として認められるのは以下の事業です。
- 街路灯(1基以上)
- 放送設備
- 防犯カメラ
上記の事業で発生する経費について、3分の1以内の補助率で、以下の補助限度額内で補助金が交付されます。
- 街路灯(電気料、修繕費):上限なし
- 放送設備、防犯カメラ(修繕費):10万円
知的財産権取得促進補助金|大熊町
福島県大熊町では、町の経済発展を目指して知的財産権の取得に取り組む事業者に対し、予算の範囲内で「知的財産権取得促進補助金」を交付しています。
この制度の対象となるのは、以下のすべてを満たす事業者です。
- 会社方(平成17年法律第86号)第2条第1号で規定される株式会社、合名会社、合資会社、合同会社、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年7月26日法律第87号)第3条第2項に規定する特例有限会社または技術研究組合法(昭和36年5月6日法律第81号)に基づく技術研究組合であること
- 知的財産権の取得に際し、本店登記地が大熊町内であること
- 補助金の申請や実績報告に際し、本店登記地が大熊町内であること
- 交付決定から5年以上、引き続き大熊町内で事業を行う意思があること
- 過去に補助金の補助上限額まで受け取ったことがないこと
- 公租公課が未納でないこと
- 暴力団員やその関係者が経営や運営に関与していないこと
上記に該当する事業者が特許権・実用新案権・意匠権・育成者権の取得のために出願する際、以下の内容で補助金が交付されます。
補助事業 | 国内出願申請 | 外国出願申請 |
補助額上限1件あたり | 500千円 | 1,000千円 |
補助率 | 補助対象経費の10分の10 | |
補助対象経費 | 出願等の手続に係る弁理士等代理人への報酬等その他 | 出願等の手続に係る弁理士等代理人への報酬等・外国出願に係る委託費等その他 |
公費申請期限 | 出願の日の翌日から起算して1年以内 | |
1企業あたりの補助上限額 | 10,000千円 |
詳細:https://www.town.okuma.fukushima.jp/soshiki/zerocarbonsuishin/27183.html
雇用促進助成金|大熊町
福島県大熊町では、雇用機会の創出や拡大を目指して対象の事業に取り組む町内の企業に対し「雇用促進助成金」を交付しています。
この制度を利用できるのは、以下のすべての要件を満たす事業者です。
- 業種に応じた事業を行う者であること
- 「自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金」の交付が決定されていること
- 町内に本店または支店が登記されていること
- 従業員の勤務開始から2か月後の月末時点で、町内に住所を有し、かつ、町内に居住する正規従業員または非正規従業員を新たに雇用し、その日から6月後まで雇用を継続していること
- 公租公課が滞納されていないこと
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)に基づく暴力団関係者が経営や運営に関与していないこと
- 事業開始から翌年度末までに交付申請を行うこと
補助金額は1事業者あたり1,000万円を上限とし、要件を満たした正規従業員1人につき30万円、もしくは非正規従業員1人につき20万円が交付されます。
詳細:https://www.town.okuma.fukushima.jp/soshiki/zerocarbonsuishin/27173.html
令和6年度農産物等海外販路開拓支援事業
福島県では、海外販路の拡大と輸出環境の整備を目的として、農林水産物や加工品の風評を払拭する取り組み等を行う事業者に補助金を交付しています。
この支援の対象となるのは、県内に主たる事務所を構える農林漁業者・商工業者の組織する団体や民間団体のうち、福島県産の農林水産物もしくはそれを活用した加工品を海外へ輸出する事業者です。
対象事業は、以下の2種類があります。
- 海外市場拡大:海外での商談会や展示会、百貨店での製品展示や販売促進、個別商談や市場調査、海外への輸出に向けた情報収集など
- 輸出環境整備:輸出先国(地域)の検疫条件への適合(証明書の取得、検疫官の招へい、輸送および保存試験など)、海外バイヤーの招へいなど
補助額については、事業内容によって異なります。
対象事業 | 補助額 |
海外販路拡大 | 民間団体:150万円以内県域等農業団体:300万円以内 ※ただし、対象経費の4分の3以内 |
輸出環境整備 | 民間団体:150万円以内県域等農業団体:300万円以内 |
詳細:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/36005b/yushutuhojokin2024.html
福島県創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援補助金
福島県では、原子力災害によって被害のあった12市町村内で創業や事業展開に取り組む際、係る経費の一部に対して「福島県創業促進・企業誘致に向けた設備投資等支援補助金」を交付しています。
12市町村とは、田村市、南相馬市、川俣町、広野町、葉町、富岡町、川内村、大熊町、 双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村のことをいいます。
この補助制度の対象となるのは、以下に該当する事業者です。
- 公募開始日から2年以内に新たに創業した者または創業予定者
- 原子力災害時に12市町村内で事業を開始していない事業者で、事業活動を始める者
上記の事業者は、指定の12市町村内で補助事業を実施し、発生した以下の経費について補助金の交付対象として認められます。
区分 | 補助対象経費 |
人件費 | 人件費(創業の場合に限る) |
事業費 | 施設等購入・借入・整備費、設備費、原材料費、知的財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、外注費 |
委託費用 | ー |
その他 | 知事が必要と認めた経費 |
補助金額は、帰還困難区域・特定帰還居住区域・特定復興再生拠点区域または、大熊町・双町の旧居住制限区域・旧避難指示解除準備区域で補助事業を行なう事業者に対し、30,000千円を限度額として補助対象経費の3/4以内で決定します。(補助金交付上限額は22,500千円です)
なお、上記以外の12市町村内の区域で補助事業を行なう場合、10,000千円を限度額として補助対象経費の2/3以内で補助金額が算出されます。(補助金交付上限額は6,666千円)
詳細:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32011b/12sougyou.html
まとめ
今回は、福島県で個人事業主や中小企業といった事業者が活用できる補助金について、計10種類の制度を紹介しました。補助金にはさまざまな種類があるため、内容をしっかりと確認した上で、自社にとって適切な制度を選ぶことが欠かせません。
記事で紹介した制度のほかにも事業者を対象とした補助制度は存在するため、複数の制度を比較・検討した上で、自社の経営を活性化や経費負担の削減につながる制度を活用しましょう。