【2024年】農業従事者が使える助成金・補助金制度一覧!

【2024年】農業従事者が使える助成金・補助金制度一覧!

農業を営むためには多くのコストが発生しますが、農業従事者が利用できる助成金や補助金制度があるのをご存知でしょうか。

今回の記事では、農業従事者の方に向けて、利用可能な助成金や補助金の制度を紹介します。

ご自身のケースに当てはめて、利用できそうな制度があればぜひ検討してみてくださいね。

メルマガ & 公式LINE
この記事の監修者
プロフィール写真

森田洋生
1980年東京生まれ鹿児島在住

MBAの知識を活用して、
補助金や助成金の事業計画書作成事業を経営

顧客の事業を綿密に調査を行い、
計画書に一つ一つ魂を込めて
作成を行っている。

融資周り事情にも精通し、
国の認定支援機関に登録されている。

JAPANMENSA会員所属
趣味:料理つくり・ゲーム・SUP

目次

農業従事者が使える助成金・補助金制度一覧

農業従事者が使える助成金・補助金として、今回は以下の制度を紹介します。

  • 就農準備資金(準備型)
  • 経営開始資金(経営開始型)
  • 強い農業・担い手づくり総合支援交付金
  • 農地耕作条件改善事業
  • 地域雇用開発助成金
  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 小規模事業者持続化補助金

それぞれの制度について、内容を確認しましょう。

就農準備資金(準備型)

就農準備資金の準備型は、これから農業を始める人の研修費用や農業開始後の生活を支援するための助成制度として利用できます。

この制度の対象となるためには、以下の条件を全て満たしている必要があります。

  • 就農予定時の年齢が、原則49歳以下であること
  • 独立・自営就農、雇用就農又は親元での就農を目指すこと
  •  独立・自営就農を目指す者については、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者になること
  •  親元就農を目指す者については、就農後5年以内に経営を継承する、農業法人の共同経営者になる又は独立・自営就農し、認定農業者又は認定新規就農者になること
  • 都道府県等が認めた研修機関・先進農家・先進農業法人で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
  • 常勤の雇用契約を締結していないこと
  • 生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
  • 申請時の前年の世帯全体(親子及び配偶者の範囲)の所得が原則600万円以下であること
  • 研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること

出典:就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)

これらに該当する方が農業大学校や先進農家で研修を受ける際、年間150万円を限度額として研修期間中に月12.5万円が支給されます。(最長2年間)

なお、以下に該当した場合は返還の対象となるため、注意が必要です。

  • 適切な研修を行っていない場合(交付主体が、研修計画に則して必要な技能を習得していないと判断した場合)
  • 研修終了後1年以内に就農しなかった場合
  • 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、就農を継続しない場合

経営開始資金(経営開始型)

就農準備資金の準備型は、農業を開始してから経営が安定するまでの支援として利用できます。

この制度の対象となるためには、以下の要件を全て満たしていなければなりません。

  • 就農時の年齢が、原則49歳以下の認定新規就農者であること
  • 独立・自営就農であること
  • 親等の経営の全部又は一部を継承する場合には、継承する農業経営に従事してから5年以内に継承し、かつ新規参入者と同等の経営リスク(新規作目の導入や経営の多角化等)を負うと市町村に認められること
  • 就農する市町村の「目標地図」に位置づけられていること(見込みも可)、「 人・農地プラン 」に中心経営体として位置づけられていること(見込みも可)、又は農地中間管理機構から農地を借り受けていること
  • 生活保護等、生活費を支給する国の他の事業と重複受給していないこと
  • また雇用就農資金による助成金の交付又は経営継承・発展支援事業による補助金の交付を現に受けておらず、かつ過去に受けていないこと
  • 申請時及び交付期間中の前年の世帯全体(親子及び配偶者の範囲)の所得が原則600万円以下であること

参照:就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)

また、「夫婦共に就農する場合は夫婦合わせて1.5人分の交付」「複数の新規就農者が法人を新設して共同経営する場合は、就農者それぞれに最大150万円の交付」といった特例もあります。

これらに該当する方が新規就農する際、年間150万円を限度額として月12.5万円が支給されます。(最大3年間)

なお、以下の場合は交付停止や返還の対象となるため、注意してください。

<交付停止要件>

  • 交付期間中の前年の世帯全体(親子及び配偶者の範囲)の所得が原則600万円(本事業資金含む)を超えた場合
  • 青年等就農計画等を実行するために必要な作業を怠るなど、適切な就農を行っていない場合

<返還要件>

交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続をしなかった場合

強い農業・担い手づくり総合支援交付金

強い農業・担い手づくり総合支援交付金は、地域農業の発展や担い手の育成に関して支援されます。

この制度は「先進的農業経営確立支援タイプ」と「地域担い手育成支援タイプ」の2種類に分けられており、それぞれ制度内容が異なります。

先進的農業経営確立支援タイプ

先進的農業経営確立支援タイプは、高い目標を持って農業の発展や規模拡大を図るための支援制度です。

農地プランに位置付けられた中心経営体や農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた方を対象に、農業用の機械や施設導入にかかる費用支援が受けられます。

補助率は事業費の3/10以内、補助上限額は1.500万円(個人の場合は1,000万円)です。

地域担い手育成支援タイプ

地域担い手育成支援タイプは、地域農業の担い手として取り組む農業経営体に対する支援制度です。

このタイプの中でも2つの制度があり、「融資主体型補助事業」と「条件不利地域型補助事業」に分けられています。

融資主体型補助事条件不利地域型補助事業
対象農地プランに位置付けられた中心経営体や農地中間管理機構から賃借権の設定等を受けた方経営規模が小規模・零細な地域における意欲ある経営体
補助率事業費の3/10以内事業費の1/2以内
補助上限額300万円記載なし

農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業は、農業者が事業を続けるための環境整備を目的とした支援制度です。この制度は大きく6種類に分かれており、それぞれ内容が異なります。

  • 地域内農地集積型
  • 高収益作物転換型
  • スマート農業導入推進型
  • 病害虫対策型
  • 水田貯留機能向上型
  • 土地利用調整型

各制度の概要や交付要件について、簡単に解説します。なお、本制度は条件が厳しいため、詳しくは地域の自治体やJAなどに確認してから申請手続きを進めましょう。

地域内農地集積型

地域内農地集積型は、農地のきめ細やかな整備や農地中間管理機構による担い手への農地集積を促進するための制度です。

主な実施要件として、以下が挙げられます。

  • 農地中間管理事業を重点的に実施する区域である
  • 事業費200万円以上
  • 農業者2戸以上
  • 目標に沿った計画策定をしている

補助額は事業やプランによって異なります。

高収益作物転換型

高収益作物転換型は、地域内農地集積型に加えて、高収益作物転換の計画策定から高付加価値農業施設の設置などに必要な取り組みを支援する制度です。

主な実施要件として、受益農地の1/4以上を高収益作物に転換することが求められます。なお、補助額は事業やプランによって変動します。

スマート農業導入推進型

スマート農業導入推進型は、スマート農業に必要なGNSS基地局の設置や基盤整備などを支援する制度です。

補助額は事業やプランによって変動し、スマート農業の基盤整備が行われた農地や整備が行われる見込みのある農地を対象に実施されます。

病害虫対策型

病害虫対策型は、一度まん延すると農業に膨大な被害を与える病害虫について、発生防止やまん延防止に取り組むための支援制度です。

補助額は事業やプランによって異なり、植物防疫法に基づく発生予察情報で「警報・注意報・特殊報」が発表された区域を対象に実施されます。

水田貯留機能向上型

水田貯留機能向上型は、水田の雨水貯蓄機能向上のための計画実施において、必要な基盤整備を支援する制度です。

こちらも補助額は事業やプランによって異なり、流域治水プロジェクトや治水協定等が策定され流域治水対策を実施する地域、地区内の5割以上の面積で「田んぼダム」を実施する場合が対象となります。

土地利用調整型

土地利用調整型は、農地を持続的かつ計画的に利用する上で、ゾーニングに必要となる交換分合や基盤整備を支援する制度です。

この制度も補助額や事業やプランによって異なり、農地中間管理事業を重点的に実施している区域や周辺農地に対して実施されます。

地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金の地域雇用開発コースは、雇用の機会が不足している企業が地域内で新しい事業所を設立したり、既存の施設を整備したりする際に利用できます。地域の住民を雇用することを条件に、設備や施設の整備費用を一定の割合で助成する制度です。

受給要件は、1回目の支給と2回目・3回目の支給によって異なります。

受給回数受給要件
1回目同意雇用開発促進地域等の事業所における施設・設備の設置・整備及び、地域に居住する求職者等の雇い入れに関する計画書を労働局長に提出すること。事業の用に供する施設や設備を計画期間内に設置・整備すること地域に居住する求職者等を計画期間内に常時雇用する雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者としてハローワーク等の紹介により2人(創業の場合は2人)以上雇い入れること設置・設備事業所における完了日における被保険者数が、計画日の前日における数に比べ3人(創業の場合は2人)以上増加していること
2回目・3回目被保険者について、第2回目の支給基準日(完了日の1年後の日)および第3回目の支給基準日(完了日の2年後の日)における数が、完了日における数を下回っていないこと前述の要件を満たして雇い入れられた対象労働者について、第2回目および第3回目の支給基準日における数が、完了日における数を下回っていないこと完了日以降に事業主都合以外の理由による離職者が発生した場合、一定の範囲で補充が認められるが、第2回目および第3回目の支給基準日までの離職者の数は、完了日時点の対象労働者の1/2以下、または3人以下である必要がある

出典:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

受給額については、事業所の設置・設備費用と対象労働者の人数によって変動します。

設置・設備費用対象労働者の増加人数※括弧は創業の場合
3(2)〜4人5〜9人10〜19人20人〜
300万円以上50万円80万円150万円300万円
1,000万円以上60万円100万円200万円400万円
3,000万円以上90万円150万円300万円600万円
5,000万円以上120万円200万円400万円800万円

※中小企業は1回目の支給で1.5倍の支給額

※中小企業でなおかつ創業の場合は、1回目の支給で2倍の支給額

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がビジネスの生産性向上や事業拡大を目指す際に利用できる支援プログラムです。

受給条件として、IT導入補助金事務局に登録されているITツールを導入すること、補助金を申請する際には「IT導入支援事業者」と連携することが求められます。

以下の条件に該当する小規模事業者と中小企業は、IT導入補助金を利用できます。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

補助額・補助率については以下の通りです。

申請枠補助額補助率
通常枠5万〜150万円未満1/2以内
インボイス枠(インボイス対応類型)10万〜350万円以下1/2〜4/5以内
インボイス枠(電子取引類型)(下限なし)〜350万円以下1/2〜2/3以内
セキュリティ対策推進枠5万〜100万円以下1/2以内
複数社連携IT導入枠補助対象経費によって異なる(3,000万円以下)1/2〜4/5以内

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、革新的な商品やサービス、試作品を開発する企業、生産プロセスの改善を行う企業などに対して支援される補助金です。

この補助金は、以下の条件に該当する小規模事業者や中小企業が対象となります。

対象事業者業種条件
小規模事業者商業・サービス業従業員が5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)従業員が20人以下
製造業・その他従業員20人以下
中小企業製造業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
卸売業資本1億円以下もしくは従業員100人以下
サービス業資本5,000万円以下もしくは従業員100人以下
小売業資本5,000万円以下もしくは従業員50人以下
ソフトウェア業資本3億円以下もしくは従業員300人以下
旅館業資本5,000万円以下もしくは従業員200人以下
その他の業種資本3億円以下もしくは従業員300人

補助額は100万円から4,000万円の間で決定し、補助率は1/2から2/3です。

申請枠補助額補助率
通常枠100万~1,250万円1/2(小規模事業者または再生事業者は2/3)
回復型賃上げ・雇用拡大枠100万~1,250万円2/3
デジタル枠100万~1,250万円2/3
グローバル市場開拓枠100万~3,000万円1/2(小規模事業者または再生事業者は3分の2)
グリーン枠100万~4,000万円2/3

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が自らの事業を持続可能にするための支援プログラムで、販路の拡大や業務の効率化を目指す事業者が利用できます。

具体的には、機械や装置の導入費用、Webサイトやチラシの作成費用、展示会への出展費など、さまざまな経費に活用可能です。

小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、以下に該当する小規模事業者です。

業種条件
商業・サービス業5人以下
サービス業(宿泊業・娯楽業)20人以下
製造業・その他20人以下

補助額は50万〜200万円の間で決まり、補助率は全枠共通で2/3となります。

申請枠補助額補助率
通常枠50万円2/3
賃金引上げ枠200万円2/3
卒業枠200万円2/3
後継者支援枠200万円2/3
創業枠200万円2/3

農業従事者に関連する助成金についてよくある質問

ここでは、農業従事者に関連するよくある質問をまとめました。

トラクターなどの農業機械を買う時に使える補助金は?

農業機械を購入する際に使える補助金として、以下のような制度があります。

本記事でも紹介していますが、それぞれ補助対象や補助上限額が異なるため、詳しくは公式サイトで最新の情報を確認できます。

農業用のビニールハウスに使える補助金は?

農業用のビニールハウスを購入する際に使える補助金として、以下のような制度が挙げられます。

それぞれの制度における補助額や支給条件については、公式サイトで確認できます。

女性の農業従事者が使える補助金は?

女性の農業従事者が使える補助金として、以下のような制度を利用できます。

  • 女性が変える未来の農業推進事業
  • 働きやすい環境づくり緊急対策のうち女性の労働環境整備・活躍強化事業

参考:https://www.maff.go.jp/j/keiei/jyosei/gaido.html

女性農業従事者を雇用する機会がある方や、農業従事者として就業する女性はチェックしておくと良いかもしれません。

まとめ

今回は、農業従事者の方が利用できる助成金・補助金を紹介しました。

農業に関連する支援制度はさまざまな種類があるため、自身の状況に合った制度を利用し、持続的な農地利用や生産活動を目指してみてはいかがでしょうか。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次